研究課題
基盤研究(C)
腫瘍関連マクロファージは、固形がん組織におけるがんの増悪に深く関与する。我々はこれまでに、骨髄マクロファージ細胞は増殖や破骨細胞への分化の際、細胞外の非必須アミノ酸L-セリン(Ser)が不可欠であることを見出している。本申請ではがんの増悪におけるがん細胞と腫瘍関連マクロファージとの細胞間コミュニケーションに対するSerの寄与について調べるとともに、その制御法について検討することを目指している。本年度はまず、モデルとなる腫瘍細胞の選定と移植系について検討を行った。1.マウスC57BL/6由来腫瘍細胞を入手し、各細胞におけるセリン合成系酵素の発現状況についてRT-PCRにより調べた。残念ながら現時点ではセリン合成系の発現が亢進している腫瘍細胞の同定には至っていない。今後も引き続き、同様に腫瘍細胞の選定作業を行う。また、平行してセリン合成系酵素の過剰発現株作成についても行っている。2.マウスへの腫瘍細胞を皮下移植し、腫瘍関連マクロファージ調製のための条件検討を行っている。所属機関の異動のため当初使用を計画していた実験装置が使えず、細胞の調製法について代替案が必要となった。残念ながら現時点では細胞の収率が悪く、実験系の構築には至っておらず、引き続き検討を行っていく。3.腫瘍細胞と腫瘍関連マクロファージの細胞間コミュニケーションを遮断するため、破骨細胞分化誘導系を利用してセリンアナログのスクリーニングを行い、現在までに2つの候補化合物を得ている。
4: 遅れている
所属機関の異動により、当初使用予定していた実験装置が使用出来なくなったなど、様々な面で代替法の模索・立ち上げが必要となった。また異動による業務内容・運営体制の変化により、当初想定していたエフォートを確保するのが困難であった。
腫瘍細胞の移植実験系を立ち上げる。現所属機関にはフローサイトメーターがなく、細胞の調製をソーティングで行うことができないため、細胞レベルでの研究はやや困難である。そこで、今後は組織レベルでの解析を中心に進める予定である。
研究体制を見直し、今年度より外部の研究者を分担者として加えた。今後連携して研究を進めていく。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
PLoS One.
巻: 8 ページ: e58555
doi: 10.1371/journal.pone.0058555.
J Biol Chem.
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