研究課題/領域番号 |
24614013
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
角田 伸代 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 老化制御研究部, 外来研究員 (60337483)
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キーワード | DPP4活性 / DPP4量 / 魚油 / 糖尿病 |
研究概要 |
糖尿病予備軍あるいは糖尿病と診断された患者の血清DPP4量および活性と身体組成、食物摂取、HbA1cとの関連性について検討した。 対象者は男性11名、女性13名の計24名。うち1名がインスリン注射、1名がビデュリオン(持続型GLP-1製剤)注射を行っていた。その他の患者は糖尿病治療薬の内服あるいは無投薬であった。内服薬として、DPP4阻害薬、DPP4活性に影響を与えるとされるメトホルミンおよびチアゾリジンの使用者は対象外とした。対象者の平均年齢は68.2±10.2歳(男性65.9±12.2歳、女性70.1±8.1歳)、BMI23.2±4.2(男性25.0±4.3歳、女性21.7±3.5歳)であった。HbA1cの平均は6.6±0.7(男性6.6±0.8歳、女性6.7±0.5歳)であった。 DPP4量と活性の間には有意な相関が認められなかったため、DPP4活性を用いて、以後の検討を行った。まず、DPP4活性と身体組成との関連性について検討した。DPP4活性と体脂肪量に有意な相関が認められたが、骨格筋量との間には有意な相関関係はなかった。次に、DPP4活性と食物摂取との関連性について検討した。DPP4活性とエネルギーおよび穀類摂取量とは有意な相関関係があったが、魚油摂取量、n-3系脂肪酸摂取量との間に有意な相関は認められなかった。DPP4活性とHbA1cにも有意な相関は認められなかった。 これらの結果から、DPP4活性は骨格筋量に関わらず体脂肪量に正相関することが示唆された。エネルギー摂取量や穀物摂取量は体脂肪量に大きく影響することからDPP4活性との関連性が見られたと考えられるが、魚油やn-3系脂肪酸との関連は見いだせなかった。HbA1cに関しては、対象者間のばらつきが少なく検討が難しかったと考えられる。今回用いたFFQの精度や対象者数も加味してさらに検討が必要だと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、糖尿病患者を対象としてDPP4量・活性と身体組成および魚油を含めた食物摂取状況との検討が実施できた。 しかし、調査実施先病院との折衝や倫理審査等により調査開始が遅れ、対象者数が少なくなってしまったことが反省すべき点である。
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今後の研究の推進方策 |
本年の調査では、DPP4活性が糖尿病患者において骨格筋量に関わらず、体脂肪量について有意に正相関することが示唆できたが、魚油摂取との関連性や血糖コントロールとの関連性については明確にすることができなかった。 そこで、今後は本年度の調査結果をもとに、対象者数および食物摂取状況調査方法について検討し、再度、臨床研究を行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究内容が、細胞実験からヒト介入実験となったため、倫理審査などに時間がかかり、対象者人数が少なくなったため。 翌年度は、本年度の調査結果をもとに、食物摂取状況調査方法や対象者人数などを再考し、再度、臨床研究を行っていきたいと考えている。そのため、DPP4活性測定費、謝礼としてのクオカード代、身体組成測定物品費、血液検査費などにあてたいと考えている。翌年度は、C-ペプチドやGLP-1活性等も測定できればと考えているため、これら測定費用としても使用したい。
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