研究課題/領域番号 |
24614018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
横山 信治 中部大学, 応用生物学部, 教授 (10142192)
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研究分担者 |
呂 鋭 中部大学, 生物機能開発研究所, 研究員 (80381862)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | HDL / コレステロール / 動脈硬化症 |
研究概要 |
1、栄養因子によるABCA1の活性制御の機構について。HDL産生触媒膜蛋白質であるABCA1の活性は、遺伝子発現の調節と蛋白質分解の両面から制御されている。栄養因子による遺伝子発現調節には、LXR/RXR、PPAR、SREBPなどステロール代謝に関わる転写調節因子が複雑なネットワークを形成している。一方、ABCA1蛋白質分解による活性調節は主にcalpainにより、細胞内取込みとカップルしている。この機構において次の事柄を解明した。1)caveolin-1とABCA1の相互作用がABCA1の細胞内取込みに必要であることが分かり、環境因子・薬剤代謝産物であるキノン化合物によるABCA1の分解抑制・活性増加は、この相互作用を阻害するためであることが判明した、2)食品中の二価陽イオンであるカルシウム、マンガン、マグネシウムなどがcalmodulinとABCA1の相互作用を促進してそのcalpainによる分解を阻害することが分かった。 2、血漿リポ蛋白質は血管内寄生虫である日本住血吸虫の栄養因子であり、とりわけHDLからのcholesteryl esterの取り込みはその卵黄形成と授精卵のmiracidiumへの成熟に必要であること、CETP欠損症の巨大HDLではその機能が低下していることが分かった。この反応を担う膜蛋白質CD36RPをクローニングにより同定し、機能構造解析を行った。CETP欠損症が東アジアに高頻度で見られる理由は日本住血吸虫卵の肝臓に於ける異所性の成熟が阻害されることによる感染抵抗性によるものと判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画における期待された成果とはやや異なる視点からではあるが、目的とされるHDL代謝の栄養因子による制御に関して重要な研究成果が上がっている。栄養因子によるHDL濃度の制御が、従来考えられてきた遺伝子発現制御のみならず、他の機序によっても起こりうることが示されると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1、栄養因子によるABCA1の活性制御について、1)ABCA1の分解による活性調節の機序についてcaveolin-1の関与による機構の詳細を明らかにし、外来性の因子による干渉が与える影響について明らかにする、2)食品中の二価ないし三価の陽イオンによるABCA1の発現・活性の制御について、遺伝子発現と蛋白質分解調節の両面から検討して行く。 2、外来性の因子によるHDLの代謝調節について、CD36関連蛋白質の役割をさらに検討して行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の実験が効率よく進んだ結果、24年度末まで於ける消耗品購入の支出が予定より少額となった。ただし、研究計画とそれに基づく試薬・器具など購入計画に大きな変更はなく、24年度に予定していた物品の購入は平成25年度前半に予定することとした。
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