研究課題
ヒト胚性幹 (ES) 細胞を用いた正常発生に沿った心筋分化誘導モデルをもとに、心筋前駆細胞の単離同定を試みた。242種の細胞表面マーカーのスクリーニングの結果、4つのマーカーが有効であること、分化誘導5日目の細胞集団中にはすでに心筋前駆細胞が含まれることを明らかにした。次に、この心筋前駆細胞の多分化能性を検討するために、1細胞からの心筋分化を試みた。その結果、心筋誘導率は平均10%であり、そのうち心筋細胞だけが分化誘導されたケースは1.2%であった。このことから、個体発生中の前駆細胞と同様に、ES細胞由来の前駆細胞もまた多分化能性を有していることを明らかにした。また、心臓の各領域の心筋細胞を単離同定するために、Nkx2-5EGFP/w / Mlc2vmCherry/wダブルノックインヒトES細胞株の樹立を行った。EGFPおよびmCherryの発現パターンは、内在性のNkx2-5およびMlc2v遺伝子の発現と一致していること、Nkx2-5-EGFPの発現は、拍動細胞が出現するまでに確認されるが、Mlc2v-mCherryの発現は拍動細胞の出現後しばらくしてから観察されることがわかった。Mlc2v-mCherry陽性の細胞は、1~2ヶ月の培養期間を経ても自立拍動性を示すが、機能的な成熟性については今後さらなる解析が必要である。最終年度には、Mlc2vのノックイン細胞株について、国内のいくつかの研究機関と共同研究をスタートした。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Stem Cells Transl Med.
巻: 3 ページ: 992-1001
doi: 10.5966/sctm.2013-0179