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2013 年度 実施状況報告書

筋幹細胞の休止期を保つためのメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24615005
研究機関熊本大学

研究代表者

木村 重美  熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (60284767)

キーワード筋ジストロフィー / 副甲状腺ホルモン / 副甲状腺ホルモンレセプター / 筋衛星細胞 / 筋分化 / MyoD / 休止期
研究概要

Duchenne型筋ジストロフィーは、現在のところ根治治療はない。我々の目的は、筋分化を促進して筋ジストロフィーを治療することにある。以前、我々はTet-Offシステムを利用して、ドキシサイクリン(Dox)を除去することにより、MyoD遺伝子を発現させることのできるマウスES細胞(ZHTc6-MyoD)を作製している。そのZHTc6-MyoDは、培養液よりDoxを除去しても、すべての細胞が筋分化するわけでなく、一部の細胞は筋衛星細胞の休止状態と同じ様に未熟の状態を保ちコロニーを形成する。ZHTc6-MyoDと分化誘導したZHTc6-MyoDのコロニーを網羅的DNAareiにより比較検討した結果、副甲状腺ホルモンレセプター1(PTH1R)がZHTc6-MyoDのコロニーでは高発現を示した。ZHTc6-MyoD の筋分化の過程でsiRNAによりPTH1Rを発現抑制すると、多くの細胞は死滅した。また、ZHTc6-MyoDの分化培地に副甲状腺ホルモン(PTH)を入れることにより、マイオチューブになる期間が2日間短縮された。筋ジストロフィーのモデルマウス(mdx)の筋組織では、PTH1Rの発現が筋衛星細胞とほぼ一致して見られた。60μg/kgのPTHをmdxに毎日注射した結果、ハンギングテストでは生食投与mdx(n=7)では49.5±44.9秒、PTH投与mdx(n-6)では132±61.6 秒、100分間のトレッドミル検査では正常マウス(n=5)で1486±7.4 m、生食投与mdxでは425±190 m、PTH投与mdx(n-6)では843.6±352 mと、PTH投与群は有意の差をもって筋力の改善をみた。よって、PTHは筋分化を促進して、筋ジストロフィーなどの筋疾患に有効な治療法の1つである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in Vitroおよびin vivoにおいて、副甲状腺ホルモンが筋分化を促進することを証明した。平成25年度は熊本大学と特許を申請しており、学会発表、論文の公開ができなかった。しかし、ようやく特許に関しては、既に出願済みの状態となり、今後、論文の公開や学会での発表をすすめていきたい。平成25年度は海外などでの学会発表を予定していたが、以上の理由で出来なかった。また、委託研究も業者が受付を延期しており、その分の予算も残ってしまった。

今後の研究の推進方策

副甲状腺ホルモン(PTH)が、どのようなパスウェイで筋分化を促進しているのかを研究してくと同時に、筋ジストロフィーの治療にPTHが臨床応用可能かどうかについての検討をすすめる。具体的には、新たな予算を獲得して、以下のことを予定している。
1、副甲状腺1型受容体のコンディショナルノックアウトマウスの作製(ノックアウトマウスは胎生致死)
2、上記のマウスを使用して、副甲状腺がどのような経路で骨格筋の分化に関わっているのか解析する。
3、臨床応用に向けて、医師指導治験、もしくは製薬会社との共同研究をを模索する。

次年度の研究費の使用計画

国際学会や国内学会でで発表予定であったが、特許申請中であり、発表が出来なかった。また、委託研究(FACS)が受付が一時延期となっており、その分の予算が残ってしまった。
今年度は、この研究を国内外で発表、または論文公開を予定している。本来予定していた追加の研究(FACS)を行いたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Estimation of muscle strength from actigraph data in Duchenne muscular dystrophy2014

    • 著者名/発表者名
      Kimura S., Ozasa S., Nomura K., Yoshioka K., Fumio Endo F
    • 雑誌名

      Pediatr. Inter

      巻: 印刷中 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Case Report of Congenital Fiber Type Disproportion with an Increased Level of Anti-ACh Receptor Antibodies2013

    • 著者名/発表者名
      Kimura S., Ozasa S., Nomura K. Kosuge H., Yoshioka K
    • 雑誌名

      Case Reports in Pediatrics

      巻: 3 ページ: 607678

    • DOI

      10.1155/2013/607678

    • 査読あり
  • [学会発表] 小児の筋疾患の治療評価としてのアクチグラフ その22013

    • 著者名/発表者名
      木村重美、小篠史郎、野村恵子、小菅浩史
    • 学会等名
      第55回日本小児神経学会
    • 発表場所
      大分市 オアシスタワーホテル
    • 年月日
      20130530-20130601
  • [図書] 小児科の治療指針;先天性ミオパチー2014

    • 著者名/発表者名
      木村重美
    • 総ページ数
      in Press
    • 出版者
      診断と治療社
  • [図書] 今日の小児治療指針;先天性ミオパチー2014

    • 著者名/発表者名
      木村重美
    • 総ページ数
      in press
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] ポンペ病症例集;長期酵素補充療法中の小児型ポンペ病の1例2013

    • 著者名/発表者名
      木村重美
    • 総ページ数
      93-97
    • 出版者
      Medical Tribune
  • [備考] 発達小児科

    • URL

      http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/childdev/#

  • [産業財産権] 筋疾患の治療または予防のための医薬組成物2013

    • 発明者名
      木村重美
    • 権利者名
      木村重美
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-223948
    • 出願年月日
      2013-10-29

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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