研究課題
脊髄損傷の神経再生にはたらく骨髄間質細胞の分泌因子を同定するために、骨髄間質細胞の培養上清の分離・精製を行った。Sprague-Dawley(SD)ラットの大腿骨および脛骨の骨髄から採取した骨髄間質細胞を継代培養し、その無血清培養上清を回収した。これまでに我々が確立してきた神経突起伸長アッセイ法を指標にして、ヘパリンアフィニティーカラム、ゲルろ過カラム、イオン交換カラム、逆相クロマトグラフィーなどの液体クロマトグラフィーを組み合わせて、神経の再生因子の精製を行った。一連のカラムワークにより得られた精製標品は、直接またはトリプシン処理した後MALDI-TOF MSやLC-MS/MSなどを用いて同定を行った。これまでにいくつかの既知の因子を同定してきたが、これら以外にも有効因子の候補がいくつか存在したので、精製を引き続き行ってきた。これまでに培養上清の回収条件、精製方法や神経突起伸長アッセイ法の改良を重ねることにより、精製度をかなり高めることができた。骨髄間質細胞をはじめとする体性幹細胞は神経やその他の臓器の再生に重要な役割を果たすことが明らかになってきているが、それに関わる分子やメカニズムはまだ十分にはわかっていない。本研究により、骨髄間質細胞の分泌する因子の解析が進み、神経再生に関わる分子的メカニズムが徐々に明らかになってきていることは注目に値することである。
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Restor Neurol Neurosci.
巻: 32 ページ: 473-82
10.3233/RNN-130363.