研究課題/領域番号 |
24615008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
宮本 修 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00253287)
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研究分担者 |
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70412161)
岡部 直彦 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30614276)
成田 和彦 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60104808)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 嗅粘膜 / 神経幹細胞 / 移植 / てんかん / キンドリングラット |
研究概要 |
1. 移植細胞の作製:3週齢ラットの鼻粘膜の上皮層と固有層からそれぞれ別々に神経幹細胞を取り出して培養し、ニューロスフェアを作製した。その結果、固有層からの幹細胞の方がより高い増殖能を示すことが分かった。増やしたニューロスフェアをタンパク分解酵素を用いて個々の神経幹細胞に分散させて移植用の細胞とした。 2. モデル動物の作製:麻酔下にラットの片側の扁桃体へ刺激用電極を埋めた。また同時に海馬には移植用のガイドカニューレを挿入して、デンタルセメントで固定した。手術後1週間して100μA程度の電気刺激を1回/日与え、けいれんの程度をRacineのステージ分類で判定した。1週間程度刺激を繰り返すことにより難治性てんかんモデルであるキンドリングラットを作製した。 3. 移植:嗅粘膜から作製した神経幹細胞を含む細胞を片側の海馬に1匹当たり20万個移植した。移植1週間後から刺激を再開してけいれんの程度を調べた。移植後一時的にけいれんの程度の改善が見られたが、刺激を繰り返していくと1~3週間程度で移植前の状態に戻った。移植1ヶ月後に脳を取り出して組織をみたところ、移植部位は瘢痕化しておりニューロン様の細胞はほとんど残存していなかった。移植細胞は消失、あるいはグリア細胞へ分化してしまったものと考えられる。 今回、未分化の細胞のみを直接移植したため移植後のニューロンへの分化や生存率が低く長期の移植効果が見られなかったものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
嗅粘膜の神経幹細胞は上皮層と固有層にそれぞれ存在しており、固有層からの幹細胞の方が増殖能が高いことが分かったが、当初はそれぞれの層からの幹細胞を混在させてGABA系神経細胞への分化を検討していたため、実験結果にばらつきが見られた。現在、固有層からの幹細胞のみを使用してGABA系細胞への分化を試みている。しかしながら、ES細胞からGABA系に分化させる一般的な方法ではうまくいかないようであり、さらなる検討を要している。また、嗅粘膜固有層の幹細胞から作製したニューロスフェアは胎児脳から作製したものよりも増殖能が低く、この点についても培養条件などの検討がさらに必要である。
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今後の研究の推進方策 |
神経幹細胞からニューロスフェアを作製し、増殖させた後にGABA系神経細胞への分化を試みる。同時に嗅粘膜に存在する嗅神経鞘細胞の培養・増殖を行い、GABA系細胞との共移植を行うことで移植細胞の生着を促進する。また、移植後のホスト細胞との判別のために移植用細胞はGFPラットからの嗅粘膜を使用する。この際必要であれば、移植後の拒絶反応抑制のために免疫抑制剤の投与を行う。嗅粘膜細胞からの細胞移植によっててんかんの抑制効果が見られた場合はその効果の機序の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用は主に実験動物、培養用試薬、抗体などの消耗品費であり、今年度の残額7841円については次年度の消耗品費へ組み入れる予定である。
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