研究課題/領域番号 |
24616003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石崎 雅人 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (30303340)
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研究分担者 |
野呂 幾久子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10242752)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医療コミュニケーション / 共同意思決定 / がん患者 / 抗がん剤治療 |
研究概要 |
2012年度は、共同意思決定概念の基礎的な検討をもとに、がん治療を経験したことのある患者619名(男性310名;309名)に対してインターネット調査を行い、その初期分析を行った。調査項目は、基礎情報に加え、治療に関する情報収集行動、病院・医師への評価、医師の説明内容・方法、患者のコミュニケーション、治療法決定の希望と実際、治療の影響・効果、患者の治療に対する考え方、治療法決定の納得度、治療の満足度に関するものを用意した。初期分析として、抗がん剤治療を受けた患者を対象として、意思決定方法と満足度の関係を検討し、(1)-(4)を明らかにした。(1) 治療法の決定に関する決定方法(共同意思決定、患者主導の決定、医師主導の決定)の希望比率は、それぞれ、55.1%、33.1%、11.8%であった(実際の意思決定方法の比率は、46.7%、36.1%、17.2%)。(2) 治療の満足度に関しては、実際の意思決定方法による違いはないが、意思決定方法の希望と実際と一致しているかどうかで有意な差があった(p<.05)。(3) 意思決定方法の希望と実際が一致している場合、治療の満足度に関して方法間の違いはなかったが、実際に治療を受けた患者と受けなかった患者では有意な差ががあった(p<.05)。(4) 医師主導で意思決定を行った患者は、共同意思決定や患者主導の意思決定を行った患者に比べて、情報収集活動や医師からの説明が十分ではないと評価していた(p<.01)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度は、当初の計画通り、共同意思決定概念の検討をもとに、調査項目を設定し、実際に調査を行うことができた。さらに、初期分析を行い、その成果については、International Conference on Communication in Healthcareに投稿している。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は、2012年度の分析をさらに進めるとともに、分析の深化を図るため、がん患者の方へのインタビューを行う。さらに、共同意思決定を行う相手となる医師についても、共同意思決定に対する意識に関する調査を行い、両者の意識の比較を行う。また、医療コミュニケーションにおける共同意思決定の過程を明らかにするために、実際の医療コミュニケーションデータを複数の観点から分析を行い、共同意思決定に対する意識と関連づけることにより、共同意思決定のあり方について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
共同意思決定に関する医師への調査、2012年度の成果の発表(国内・国外×各2人)、患者の方へのインタビュー書き起こし、医療コミュニケーションデータの分析を中心に研究費を使用する予定である。
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