研究課題/領域番号 |
24616016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
野村 俊明 日本医科大学, 医学部, 教授 (30339759)
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研究分担者 |
北村 伸 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40161492)
山本 卓 法政大学, 法学部, 准教授 (40434203)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 認知症ケア / 利用者ニーズ / ケアする側(ケアラー)のニーズ / 地域連携 / 多職種連携 |
研究概要 |
1研究活動I:利用者アンケートの内容を来談者への聞き取りをもとに街ぐるみ認知症相談センターに勤務する臨床心理士と討議を重ねて平成25年1月末に素案が完成した。3月14日に開催した市民公開講座で試行的にアンケート調査し約250のサンプルを得た。目下このデータを解析して項目分析を行っており、平成25年初夏までに利用者アンケートを完成させる予定で作業を進めている。 研究活動II:平成24年度に専門職向け公開講座を3回開催した。内容は、志塚睦久氏(初石病院)・認知症急性期病棟の看護、浦上克哉氏(鳥取大学)・認知症早期発見と予防―鳥取方式、2月21日、秋山剛氏ら(NTT東日本関東病院)・しあわせプログラムについて、以上である。また、地域包括に勤務するケアマネージャーを招いてケアにあたる専門職のニーズに関して聞き取り調査を行った。 研究活動III:地域で認知症患者の診療にあたっているかかりつけ医を対象とする「かかりつけ医ミーティング」を2回開催した。このミーティングには、開業医を中心に7-8名の医師が参加し、活発な討論が行われた。医師の専門は、神経内科・精神科だけでなく脳外科・整形外科・訪問診療医など多様であった。 研究活動IV:共同研究者である山本を中心にケア学に関する理論研究を行った。認知症ケア学会等の学会に参加し、発表を行うとともに各地で実践に取り組む人たちと交流を深めた。また、12th International forum of mood and anxiety disorders(Barcelona)に参加し、発表を行うとともに欧米の研究者と交流を深めた。 研究活動V:共同研究者である北村が引き続き「認知症対策街づくり検討委員会」に参加して川崎市中原区をモデルとする事業を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的には、「(2)おおむね順調に進展している」と評価している。 研究活動I・II・IIIに関しては、街ぐるみ認知症相談センターの活動を行いながら、この一年着実に作業を進めてきた。研究活動Iについては、利用者アンケートがすでにほぼ完成しており、今後は利用者ニーズを把握する研究が進んでいくものと考えている。認知症相談にくる当事者・家族らのケアに関するニーズを把握することは本研究の要であり、今年度も最優先課題として位置付けている。研究活動IIは、街ぐるみ認知症相談センターが設立以来5年以上にわたり開催してきたもので、顔なじみの参加者も多く、日常的な交流が行われている。研究活動IIIは今年度からの取り組みであり、医師をまきこんだ地域連携を行うために重要な規格である。初年度は2回開催し、今後の継続に向けて土台ができたと考えている。 研究活動IVについては、国内外の学会参加を通して貴重な交流を広げることができた。また、公開講座に招いた浦上克哉氏(鳥取大学)と鳥取市での活動について、片山禎夫氏(川崎医科大学)と倉敷市の状況について情報交流をできた。研究活動Vは、「認知症街づくり検討委員会」の活動が施策を具体化する段階に至っておらず、現状では明確な展望を持ちにくい。しかし、武蔵小杉病院が川崎市から認知症疾患医療センターに認可されたため、行政・地域包括・医師会・看護協会などが一堂に会する機会が増えることになったので、こうした機会を活用して行政や他団体との交流を深めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究活動I:今年度前半にアンケートを完成させ、夏から秋にかけて本格的な質問紙調査を実施する。利用者のニーズの聞き取りと併せて、認知症ケアに関するニーズを把握することを目標に調査を進める。 研究活動II・III:専門職向け公開講座・かかりつけ医ミーティングを継続する。地域連携の促進のためには、特に後者を充実させていくことが重要であると考えている。 研究活動IV:今年度は認知症ケアの先進国とされている北欧を視察することを計画している。また認知症ケア学会等の学会には引き続き参加して発表を行うとともに交流を深める予定である。また、街ぐるみ認知症相談センターの活動と並行して、山本を中心として「ケア学」の理論面を深めていくことを目標とする。 研究活動V:「認知症街づくり検討委員会」に引き続き参加する。また、武蔵小杉病院認知症疾患医療センターの活動を通して行政や他団体との交流促進を目指していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
かかりつけ医ミーティング(260,000円):2回実施、講師謝礼、交通費、食事代、郵送費。学会発表(240,000円):2回(2名)、旅費交通費、参加費。国内視察(200,000円):1回4名、旅費交通費、日当、資料。国外視察(600,000円):1回2名旅費交通費、日当、資料。謝金(300,000円):データ分析、テープ起こし、翻訳、研究補助。消耗品(400,000円):研究備品、文房具 会議費、書籍など(200,000円)。
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