研究課題/領域番号 |
24616017
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
宇田川 久美子 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (90513177)
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キーワード | 多世代・多様な人々とのかかわり / インクルーシブな居場所 |
研究概要 |
(1)フィールドワークの実施とデータの収集状況 ・札幌市内の「黎明幼稚園」、及び「黎明幼稚園」との協力関係のもと、幼稚園の施設を活用して子育て支援活動を行っている「ねこぼっこのいえ」(札幌市地域子育て支援拠点事業ひろば型)にてフィールド観察を実施し(合計6回)、エピソード記録、ビデオ記録、聞き取り調査によるデータを収集した。さらに、「ねっこぼっこのいえ」にレポート作成を業務委託し、子育て支援活動(主にひろば活動)に関するレポート報告により、スタッフの視点からの具体的なデータの収集が可能となった。 ・平成25年8月12日~20日まで、デンマークのSvendborg市の障害者福祉課、特別支援クラス併設国民学校、特別支援幼稚園、ファミリーハウスなどを視察し、市の福祉システムや各種福祉施設、及び、障がい児教育機関の概要や具体的活動とその理念に関するデータを収集した。 (2)収集したデータの分析 ・「ねっこぼっこのいえ」の活動を分析したところ、多世代、多様な人々が違いを抱えながらかかわることで、一人ひとりの違いが多様な関係性の中で良さとして生かされていく過程が確認され、その背景として、「黎明幼稚園」との連携がある、「多世代、多様な人々の居場所づくり」というコンセプトをもつという特徴の影響について検討を始めた。 ・デンマークの福祉施設、障がい児教育機関等の視察により、障がい児・者に対して、障がいの有無にかかわらず個々人を人間として尊重し、公平な関係のもと、対話を積み重ねることで、違いを排除するのではなく活かす福祉システムや福祉・教育活動のあり方からインクルージョン実現に向けての大きな示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)フィールドワークの実施とデータ収集状況に関して、順調に進めていることに加え、「ねっこぼっこのいえ」への業務委託により、スタッフの活動とその意図などにかかわる重要なデータも収集できている状況にある。 (2)収集したデータの分析により、「インク―ジョンの実現」における「多世代・多様な人々とのかかわり」の意義にについて理論的基盤の構築の見通しがたっていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)フィールドワークの実施に関しては、週単位の期間での実施、及び、活動への参加を予定しており、1~2、3日の観察のみでは得ることが困難であった新たな示唆を得ることが可能となるデータ収集の方策を検討している。 (2)既に収集したデータを総括、分析し、研究成果を論文にまとめ発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
日程調整が困難であったことにより、「黎明幼稚園」の教員や「ねっこぼっこのいえ」のスタッフとの検討会、及び、専門家との検討会の機会を設けることができず、その際、必要となる謝金、物品費に残額が生じた。 次年度は分析にあたり、「黎明幼稚園」の教員や「ねっこぼっこのいえ」のスタッフとの検討会を計画し、さらに関連分野の各専門家にアドバイスを受ける機会も設け、多方面から検討できるよう配慮する。
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