研究課題/領域番号 |
24616017
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
宇田川 久美子 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (90513177)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子育て支援 / インクルーシブな居場所 / 二人称的アプローチ |
研究実績の概要 |
(1)フィールドワークの実施とデータの収集状況 ・札幌市内の「黎明幼稚園」、および「黎明幼稚園」との協力関係のもと、幼稚園の施設を活用して子育て支援活動を実施している「ねっこぼっこのいえ」(札幌市地域子育て支援拠点事業ひろば型)にて参与観察を実施し(計8回)、エピソード記録、ビデオ記録、聞き取り調査によるデータを収集した。また、「ねっこぼっこのいえ」にレポート作成業務を委託し、子育て支援活動に関するレポート報告によるデータを収集した。 ・「黎明幼稚園」の教員、「ねっこぼっこのいえ」のスタッフとの検討会、および、専門家を招いての検討会を実施し、専門家によるアドバイスを得るとともに、ビデオ記録、アンケート調査によるデータを収集した。 (2)収集したデータの分析 ・「黎明幼稚園」の保育実践、および「ねっこぼっこのいえ」の子育て支援活動において確認された「インクルーシブな居場所」について分析を行った結果、居場所づくりに参加する人びとの関わりに特徴がみられた。そこで、ヴァスデヴィ・レディの提唱する「二人称的アプローチ」から分析を行ったところ、インクルーシブな居場所づくりに「二人称的かかわり」の生起が重要であることが明らかとなった。今後、「二人称的アプローチ」を理論的基盤とし、「インクルーシブな居場所」の生成過程とその意義を明らかにし、次世代育成支援を実現するための理論を構築し、論文を作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
専門家を招いて「黎明幼稚園」と「ねっこぼっこのいえ」との合同研修会を実施するにあたり、両者の年間予定と専門家の都合をすり合わせた結果、年度末の2015年1月24日開催となり、合同研修会後に計画していた研究活動を研究期間を延長し、次年度にわたって実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
合同研修会参加者へのアンケート調査の分析、合同研修会前後の「黎明幼稚園」、「ねっこぼっこのいえ」の実践現場を比較検討するためのフィールドワークを実施する。さらに、研究協力者双方合同での研修会を実施したこと、専門家からアドバイスを得たことにより、インクルージョンの実現につながる新たな知見が明らかとなってきた。そこで、デンマークの福祉システム、福祉現場の視察を通して、システムの背後にあるインクルージョンの基盤となっている理論について分析し、その結果をこの新たな知見と比較して、フィールドワーク先で確認されたインクルーシブな居場所の生成を捉えなおすことによって、インクルージョンの実現について新たな理論を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者との検討会として、専門家を招いて「黎明幼稚園」と「ねっこぼっこのいえ」との合同研修会を実施した。両者の年間計画の予定と専門家の都合をすり合わせた結果、年度末の2015年1月24日開催となり、合同研修会後に計画していた研究活動を研究期間を延長し、次年度にわたって行うこととしたため、未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
合同研修会参加者へのアンケート調査の分析、合同研修会前後の実践現場を比較検討するためのフィールドワークを実施する。さらに、フィールドワーク先で確認されたインクルーシブな居場所の生成過程を捉え直し、インクルーシブ実現のための理論を構築するため、デンマークの福祉システムの背後にあるインクルーシブ実現の基盤となっている理論を究明することを目的として、デンマークの福祉システム、福祉現場の視察を実施する。
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