本研究の目的は、終末期ケアを実施している特別養護老人ホームを対象としたアンケート調査、及び特養に勤務する専門職員を対象としたフォーカス・グループ・インタビューから、特養入所者の終末期を支える多職種によるチームケアの要因を明らかにし、終末期ケアの質の向上に寄与することである。 最終年度である平成26年度は、アンケート調査データの分析、及びフォーカス・グループ・インタビューを実施した。 アンケート調査では、より良い終末期ケアが実施できたと思われる事例(より良いケア事例)と、より終末期ケア・支援がうまくいかなかったと思われ心残りがある事例(心残りケア事例)のチームケアに関する項目(先行研究より項目を検討した)について調査した。分析の結果、より良いケア事例群と心残りケア事例群の間で、チームケアに関する取り組み状況に差が確認された。また、多変量解析により、職種・職員間の相談や終末期個別(介護)計画の作成など、多職種が連携・協働することで、より良い終末期ケアの実施に繋がる可能性が高くなると示唆された。 フォーカス・グループ・インタビューは、特養における終末期ケアの経験豊富な専門職員を対象に、多職種の連携・協働を促す具体的内容を引き出すことを目的に実施した。グループは専門職別に編成し、看護師・准看護士、介護福祉士、管理栄養士、介護支援専門員・生活相談員の計4グループとした。最終年度内にデータ分析を終えることができなかったため、平成27年度も分析を継続し、その後、研究成果を報告する予定である。
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