研究課題/領域番号 |
24616026
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
新木 眞理子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (20335756)
|
研究分担者 |
東 玲子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (60184173)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ジェネラティヴィティ |
研究概要 |
この研究は、要介護高齢者の祖父母的ジェネラティヴィティ発達を促すケアの開発にあるが、まず今年度は、介護施設入所者への面接調査を通して、祖父母的ジェネラティヴィティの様相を明らかにした。 調査期間は、2012年9月~12月とし、77~96歳の高齢女性6名に対して、1時間程度の面接を各3回ずつ行なった。面接方法としては、エピソードインタビューの形をとり、これまでの人生のなかの「世話する・世話される」ことについてナラティヴ的に語ったものと、「世話」について意味論的にイメージや感じを語ったものを聴取した。分析は、解釈学的現象学の分析方法に基づき、逐語録をナラティヴテキストに再構成し直した。データを読み取り、全体との関連をみて、構造的記述を行ない、解釈からテーマを導き出した。分析にあたっては、現象学の専門家に研究協力を依頼し、スーパーバイズを受けて、最終分析とした。 要介護高齢女性の「世話する・世話される」世界として、【幼少時から育まれた関係性への有効な手段としての能動的おしゃべり】、【自然の恵みを媒体とした人との親密な結びつき】、【先祖から受け継がれた人としてのあり方の終生実践】、【相手から与えられることばによって湧き上がる自らのケアする力】、【世話された体験を源とする子への関心の継続】等のテーマが明らかとなった。エリクソンは、人間は一生「世話する・世話される」関係性のなかで自我発達を遂げるというが、要介護高齢女性の「世話する・世話される」世界は、過去の生き方を強く反映しており、介護を受け、世話されながらも、人を「世話する」世界も、それぞれの在り方で確かに存在していた。 この調査結果は、要介護女性の祖父母的ジェネラティヴィテイの発達の可能性を具体的に示しており、次の介入研究の手がかりをつかむことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、面接調査によって、施設入所者の祖父母的ジェネラティヴィティの様相を明らかにし、それを学会発表する予定であったが、年度内の学会発表までに至らなかった。これは、研究施設での事前準備及び倫理委員会承認等に時間がかかり、面接調査開始の時期が遅れたことに起因している。しかし、介入研究の前段階としての基礎データとして活用できる研究成果(祖父母的ジェネラティヴィティの様相が明らかとなった)によって、次年度の介入研究計画に進むことが可能となった。介入の手法として、現象学的アプローチを導入する予定にしているが、今回の研究の分析の時点から、現象学の専門家に研究協力を得たことから、次年度も協力体制を組んで研究を行うことができる準備を整えることはできたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果を、次年度6月、関連学会に発表し、その後、同学会に論文投稿の予定である。今年度は介入研究を行う予定であるが、その内容は、12月に関連学会の交流集会で発表し、議論してもらいたいと考えている。 要介護高齢者の祖父母的ジェネラティヴィティの達成・危機状況、心理社会的強さの獲得状況を踏まえて、祖父母的ジェネラティヴィティの発達を促すケアの介入計画を立てて、実践・評価する。その過程すべてにおいて介護施設の職員の協力を得ながら行う。まず介護施設の職員を対象に、今年度の研究成果の報告会を行ない、次に介入計画について協力を求め、職員の学習会を開催する予定にしている。現象学的アプローチで要介護高齢者にかかわろうとする場面を、ビデオ撮影し、それを教材として、学習会で、介入のあり方を検討していく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
・職員の学習会に活用するために、ビデオカメラ、プロジェクター、パソコン、音声 変換ソフトを購入予定である。学習会の講師の謝金・旅費。 ・学会交流集会参加の参加費及び旅費 ・論文別刷費 ・図書購入費 ・文房具
|