最終年である本年度は、これまでのアクションリサーチを基に、アートワークショップ“子どもたち自身による空間づくり”を実践し、その成果を整理して公表した。実践は、勤務校にある子育て支援教室、浜松市内のA幼稚園、島田市内のY保育園等で行い、成果を勤務校の研究紀要に掲載し(2015年3月)、日本保育学会第68回大会で「幼児の保育空間創出のためのアクションリサーチ」として発表した(2015年5月)。これまでの実践と考察を通して得られた成果のポイントは、①乳幼児の生活空間は変容を内在したものであるのが望ましいこと、②乳幼児の活動は終着点といえるようなものはなく、絶えず循環し成長し続けるものであること、以上の2点であった。 これまでと同じように、実践のほとんどを保育現場で行い(一部、公立美術館でも実践)多くの幼児教育・保育の関係者に関わっていただいたため、実践の成果を速やかに現場に還元するための報告会や研究会を持つ必要があった。今年度はそのことに多くの時間を使ったこともあり、アートワークショップの実践、特に保育空間を創出するための活動は2歳児・3歳児が中心になってしまい、年長の幼児での材木等を使った大掛かりな実践が充分にできたとはいえなかった。その点についての反省は残ってしまったが、それぞれの現場で記録写真・映像を駆使して研究成果をリアルタイムに報告できたことは、研究者にとっても幼稚園教諭・保育士の方々にとっても有意義であったと考える。
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