研究課題/領域番号 |
24616029
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
松村 真司 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 臨床疫学研究室, 研究員 (90323542)
|
キーワード | プライマリケア / 評価指標 / デルファイ変法 |
研究概要 |
地域の診療所が提供しているプライマリケア・サービスの質を適切かつ包括的に評価する指標を開発し、実行することを目的とした研究を行っている。平成25年度は、前年度に行われた医療・保健・福祉関係者によるフォーカスグループインタビューによって構築された7つの概念カテゴリー(幅広い診療、アクセス、コミュニケーション、連携、標準的診療、患者背景の尊重、地域への貢献)に基づき、既存の評価項目ならびに評価指標から評価項目候補を収集した。引き続きこれらの項目候補の中から研究班において取捨選択し、またさらに新たにわが国の医療状況に応じて新たな評価項目を作成し追加した。このようにして最終的に計159項目が評価項目候補が作成された。これらの項目候補に関して、本邦における妥当性ならびに実行可能性を、RAND/UCLAのデルファイ変法を用いて検討した。わが国のプライマリケア現場に精通している医師10名および医療福祉関係者3名を加えた13名のエキスパートパネルを構築し、2回の項目の妥当性評価ならびに1回のパネル会議を実施した。その結果、事前に設定した合意基準を満たした70項目が妥当性評価が終了した項目として選択された。これらの妥当性に関する検討を経た評価項目に関してさらに実行可能性ならびにデータ取得可能性について検討し、再度概念構築を行い、最終評価項目として5カテゴリー(幅広い診療および標準的診療、アクセス、コミュニケーション、連携、患者背景の尊重)、42項目のプライマリケアサービス評価指標が選定された。これらのデータ収集源別の内訳はレセプト調査3項目、診療録調査18項目、患者調査21項目であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたように、地域プライマリケア診療所における外形評価基準項目案を概念カテゴリーに沿って作成し、その妥当性・信頼性を検証した評価項目が選定された。これらのエキスパートパネルは医師のみならず地域プライマリケアに携わる多職種から構成されている。当初予定していた日本プライマリケア連合学会所属医師へのサーベイは行わず研究班内での討議により実行可能性およびデータ取得可能性について検討し、最終項目を選定することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度に最終選定された評価項目について、実際の評価の標準手順書および評価方法を確定する。これらに基づき、訓練を行ったサーベイヤーを用いて、4~6か所の協力診療所においてパイロット評価事業を行う。この実地における評価事業を行った上で、項目の再検討を行い、最終的な地域診療所の外形評価項目を策定する。またこれらによって得られた評価結果について診療所管理者にフィードバックしたうえで、これらの評価事業に対する個別インタビューおよびグループインタビューを行う。さらに、各診療所への通院患者に対して、これらの評価事業についての質問紙調査を行い、通院患者の事業に対する意見を聴取する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していたプライマリケア連合学会所属医師への質問紙調査を行わなかったことにより次年度使用額が生じた。本年度に実施する予定の協力診療所に対するパイロット評価事業には当初想定していたよりも費用が発生することが予想される。 本年は、6診療所におけるパイロット評価事業、およびこれらの成果および評価項目についての発信事業に使用する予定である。
|