前年度までに作成した地域の診療所における包括的診療指標(レセプト調査3項目、診療録調査18項目、患者調査21項目、全42項目)を用い、平成26年8月~10月の調査期間に6か所の診療所において評価のモデル事業を実施した。レセプト調査に関しては対象診療所における調査の前月までの過去12カ月の電算レセプトデータを用いて連結可能匿名化したデータベースを作成、同データベースより対象患者を抽出し各項目に対して評価を行った。診療録調査に関しては同データベースを利用し対象患者を抽出し、上限100名を対象に診療録を調査協力者が閲覧し評価した。質問紙調査は、各診療所において1週間の調査期間中に受診した外来患者に自己記入式質問紙法を用いて評価を依頼した。調査終了直後および全評価結果の確定後の二回、各診療所の管理者へ個別インタビューを実施した。 レセプト調査においては抽出条件に投与薬剤名を用いたため、同データベースのみでの評価が不能となったため、全調査について診療録調査が必要になった。また診療録調査の項目の一部について患者のデータが入手不能である等の技術的な問題により3施設において、18項目中4項目が調査ができなかった。またさらに診療録調査については1施設あたり4~5日の調査期間を必要としたため、2施設については上限10名を対象とし縮小して調査を行った。達成度については各指標ごと大きなばらつきがみられた。患者調査は各診療所で返送者に18名~131名とばらつきがあり、配布・回収方法に標準化が必要なことが示唆された。診療所管理者への事後インタビューでは評価項目の妥当性については肯定的意見が多く、また臨床的有用性も確認が得られたが、いくつかの項目において改善点が指摘された。また、患者調査でも診療所の質評価事業に対し、肯定的な意見が71.9%(240名/334名)と多数を占めていた。
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