研究課題/領域番号 |
24617002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
西 兼志 成蹊大学, 文学部, 准教授 (20599550)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 映像分析 / 映像アーカイブ / デジタル・ヒューマニティーズ / テレビ研究 |
研究概要 |
研究初年度に当たる本年度は、震災関連番組をハードディスクに記録することで、映像アーカイブ環境を構築すると同時に、こうして日々、蓄積されていく映像を分析していくための環境を構築した。また、それと同時に、日本国内だけでなく、海外における災害研究、映像研究、メディア研究に関する文献や映像資料を集約することで、メディア分析に必要な環境を整えることを行った。 なかでも、2012年に放送された番組、とくに「明日をあきらめない・・・がれきの中の新聞社~河北新報のいちばん長い日~」(テレビ東京、2012年3月4日放送)や、「MEGAQUAKE 巨大地震II」(NHK、全3回、2012年4月1日、4月8日、7月9日放送)「メルトダウン~連鎖の真相」(NHK、2012年7月21日放送)などの番組については、詳細な映像分析を行った。震災後、一年あまりを経て放送されたこれらの番組では、震災の映像を資料映像として活用すると同時に、現地での取材映像、ドラマによる再現、CG映像をふんだんに用いるなど、複雑な構成になっている。このような番組は、震災関連番組として重要なだけでなく、現在のメディア状況をよく表したものである。そのため、これらの番組を、フランス国立ポンピドゥーセンターが開発した映像解析ソフト「タイム・ライン」を用いて詳細に分析し、番組内のどの時点で、どれくらいの長さの資料映像、取材映像、ドラマ映像、CG映像などのそれぞれの映像が使われているかを空間的・視覚的に腑分けしていった。また、同ソフト上では、それぞれの映像の部分に対してアノテーションを付加していくことができるため、映像分析から得られた知見を集積していった。 以上のような分析は、震災に関する番組の現状と同時に、それらの番組を取り巻く現在のメディア状況を明らかにし、次年度以降の研究のさらなる展開の基礎となるものとして重要なものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、映像アーカイブ環境の構築および映像分析、メディア理論の確立に必要な資料など、本研究を遂行していくにあたって基礎となる環境を築くことができた。このような環境の中で、日々、蓄積されていく映像資料のなかから、震災関連映像としてのみならず、現在のメディア状況をよく表した映像コンテンツを取り出し、詳細な分析を行うなど、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に行った研究環境の構築、具体的な映像コンテンツの分析を引き続き進めていく。とくに、東日本大震災後の映像資料と、1995年に発生した阪神淡路大震災をめぐる映像資料や、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故などの海外における大災害をめぐる映像資料との比較研究を行っていく。 また、このような研究から得られた知見を、論文執筆や、研究会、シンポジウムの開催などを通じての公開にも着手していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
映像アーカイブを構築するにあたって必要なハードディスクドライブをはじめ、映像分析にあたって必要な映像資料・文献資料を広く購入し、研究環境を構築しながら、研究を進めていく。また、研究会、シンポジウムなどを開催し、研究を公開するための予算も支出する予定である。
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