国内で、障害者の芸術的表現に取り組んでいる施設10か所を訪問し、支援体制や行政との関係構築についてインタビュー調査を行った。また、4月から7月にかけて毎月1回大阪で、さらに11月から2月にかけて全国5か所で「インクルーシブ・カフェ」を開催し、障害者の芸術表現に関心のある研究者、施設職員、美術関係者、行政職員等のネットワーク構築に寄与した。 さらに10月にはスイス・ローザンヌにある「アール・ブリュット・コレクション」と、パリにあるアール・ブリュットの研究組織「abcd」を訪問し、インタビュー調査を行った。ここで明らかになったのは、「アール・ブリュット」という概念に対する日本と欧州の認識の違いであり、障害者の芸術表現を支援していく上で重要な課題が提起されたと考えられる。このことについては平成27年度以降の調査研究によって、より精緻な理論構築に努める所存である。
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