研究課題/領域番号 |
24617013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 苫小牧駒澤大学 |
研究代表者 |
石 純姫 苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 准教授 (60337102)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 朝鮮人の移住・定住化 / 重層的アイデンティティー / アイヌ民族 |
研究概要 |
近代期北海道における朝鮮人の日本での定住化の過程には、アイヌ民族との深いつながりがひとつの要因であることが、これまでの調査から明らかになってきている。本研究の目的は、こうしたつながりのなかで形成されたマイノリティの重層性に注目し、従来のマイノリティ分析とは異なる視点から、日本社会・日本文化の多様性について新たな視野を展開することとした。 2012年度は、平取地区を中心とした聞き取り調査と文献資料の収集を行ってきた。さらに周辺のむかわ町や新冠、静内などの地域での聞き取り調査も進めた。調査を進めるなかで、平取やむかわ町における朝鮮人の早い時期からの定住化が確認され、その多様な諸相についての一端があきらかになりつつある。 それと同時に、国家総動員法以後の強制的労務動員の実態も明らかになりつつある。平取地区での強制的労務動員については、これまで全く記録されてこなかったが、埋火葬認許書などの一次資料がみつかると同時に、地元住民の証言が得られるようになり、多くの埋もれた史実を掘り起こすことが可能となった。これらは、北海道の近代史における記憶の継承と闘争がどのように展開されてきたのかについて非常に重要な視点を得るものとなった。 これらの研究調査の成果は2012年度の東アジア教育文化学会のシンポジウム報告で公開し、今年度8月に開催予定の学術シンポジウムに先立ち、東アジア教育文化学会のニュースレターに連載記事として広く公開をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の研究調査を通じて、平取町での聞き取り調査が基盤となるが、今年度においては、平取町を中心にむかわ町、新冠、静内などにおける調査も進み、課題である朝鮮人の移住と定住におけるアイヌ民族とのつながりのより詳細な実態が把握できたと考える。 また、韓国での聞き取り調査は2013年度に繰り越すこととしたが、9月上旬に調査を行う予定であり、現地における案内、通訳などの準備も十分行われたと考える。 8月に開催予定のシンポジウムに向けての研究調査や準備もおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2013年8月に開催予定の学術シンポジウム並びにフィールドワークでの知見を基に、1939年から1945年にかけての文献資料の発掘並びに収集と現地調査、聞き取り調査を行う。聞き取り調査については、平取を中心とした日高地方から、北海道都市部や首都圏に移住した方々も含めての聞き取りも行っていく。 2013年9月には、韓国での聞き取り調査を進め、戦時期さらに戦後についてつながる移住の全体像を構築していく。それらの全体像が、近代におけるアイヌ史や北海道における在日コリアンの重層的形成過程の諸相を捉えていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究調査をふまえ、サハリンにおいて、文献資料の収集と聞き取り調査を行う。 文献資料収集については、1945年以降も視野に入れ、前近代期から現代に至るまでの総合的な研究調査を行っていく。聞き取り調査についても同様に、戦後の移住を中心としたものへと移行し、アイヌ社会のなかで生きる朝鮮人、アイヌ民族の双方の出自を持つ人々、さらに韓国・サハリンとの関係のなかで形成された重層的アイデンティティーを持つ人々に焦点をあてた調査を進めていく。 これらの研究調査のための旅費と聞き取り調査におけるインフォーマントへの謝金、文献資料収集の費用が必要となる。また、映像資料としての証言の保存のためのディスクや消耗品費が必要となる。
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