研究課題/領域番号 |
24617015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
金城 ふみ子 東京国際大学, 経済学部, 教授 (50275799)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文化変容と言語 / 現代日本語 / 計量言語分析 / 欧文脈 / 有島武郎 / 早川三代治 / 分野による表現差 |
研究概要 |
研究の最終目的「社会科学的分析における文章表現への西欧文化西欧語の影響の検討」のため、初年度である今年度は、以下のような研究準備作業を、一部予定を前倒して行った。 1.明治末期から大正期の日本社会への西欧文化の流入、特に急進社会主義の考えの出版物や翻訳関する移入状況を把握するために、社会科学系の年表を検討し時代の流れを見た。 2.分析対象の早川三代治の文章について資料調査を始めた。まず、小樽商科大学付属図書館で、早川文庫(早川三代治の遺族が同大に寄贈した蔵書)の資料を閲覧し、和書を中心に文庫目録を参考に蔵書の種類や、書き込みなどの調査を行った。また、早川文庫には入らなかったものについても、小樽の自宅を訪れ、作品執筆のために蒐集された資料やカード類などを見る機会を得た。併行して、他の言語分析の対象予定の作品の蒐集を始めた。 3.早川三代治の代表作<土と人シリーズ>の作品の舞台となった北海道標茶町虹別を訪れ、同町図書館、および同町史料編纂を行っている調査課で資料収集をし、併せて元資料編纂員らと虹別地区での現地視察を行った。 4.言語分析対象を電子化して分析するための準備として、統計情報研究所主催の研究会、言語処理学会大会に参加して、コーパスアノテ―ションについての最新研究の動向と課題について知識の拡張に努めた。特に、文章中に現れる「節」の境界や文末についてなどの研究や、『明六雑誌』(1894-1895)を中心とした近代語コーパスについての報告に、計量分析へのヒントが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年の研究作業が続行中のものがある一方、次年度以降に予定の作業が進行しているため、全体としては、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度から、本格的な言語計量分析研究に入る。 今年度は、主に早川三代治の文章を中心とした素材の分析に着手する予定である。使用する文章の電子化作業から始め、農村の生活実態がどのような語彙と構文で書かれているか、欧文脈的影響を計量的に検討する。また文章の分野によって欧文脈的影響の差異があるかを計量する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の繰越金を含めて、北海道を中心とした資料調査関連費用、研究会参加関連費用、言語分析対象とする文章の電子化費用、書籍の購入費、資料整理のための謝金などに使用する。
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