本研究の課題はアジアの大学がネットワークを作り、メディアリテラシーと異文化理解を趣旨とする国際プロジェクトを実行すると同時に、アジアの大学生たちがオンライン上でコミュニケーションしながら、共同作業を行なうプログラムを考案することであった。そのため、研究は二つの次元で行なわれた。合宿参加型のワークショップとオンラインワークショップであった。 第1に合宿参加型ワークショップは学生たちが国別にドキュメンタリー映像を作るだけではなく、多国チームで各国の映像を合作映像に作り直す共同作業をした。参加国は日本・中国・タイ・インドネシア・フィリピンの5カ国で、メンバーは大学の教員と大学生である。この国際ワークショップは研究期間中毎年1回、計4回行われた。2013年はタイのチュラロンコン大学で、ゲスト国も入れて、「Trans-culture」をテーマにアジアの10各国の大学の教員と大学生たちが集まった。2014年には日本の地方とアジアをつなげる趣旨で千葉県の佐原市とコラボレーションを行なった。テーマは「ICON」、4カ国参加。2015年は中国の電媒大学の南京市で「Equal?」をテーマにワークショップを行なった。4カ国参加。2016年はフィリピンのサント・トマス大学で「HOPE」をテーマに、5各国が参加。2016年度に特に注目したポイントはこのワークショップのデザインや運営だけではなく、これらのワークショップの影響や効果を計るための調査方法であった。 第2にオンラインワークショップとして「V-Pal Project」を日本とインドネシアの大学生で2013年・2014年に実施した。各国が作った映像を手紙のようにオンライン上でやりとりしながら、お互いの社会を学びあうプログラムで、経費や時間的な負担を減らしながら、メディアリテラシーと異文化理解を深めるための教育プログラムであった。
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