26年度は最終年度に当たるため、南洋(東南アジア)の日本人社会に関する明治大正期に刊行された史資料の収集を継続し、かつその解析に重点を置いた。一方、インドネシアを中心とした現地調査を継続して、現場確認と資料収集に努めた。 とりわけ、従来ほとんど知られていなかった、日本人作成の写真絵葉書に注目し、当時の自然、風景、民俗、芸能などを残した、日本人写真館(師)、日本商店の存在を明らかにするとともに、「無名」の彼らが残した足跡を評価した。 これらの研究成果の公表として、2015年2月6日に、国内外の研究者3名を招いて、シンポジウム「東南アジアにおける日本人社会の形成と発展 在日外国人との共生のために」を中部大学で開催し、「日本人が残した写真絵葉書に見る100年前の東南アジア」を発表した。 また、シンポジウム開催にあわせて、中部大学民族資料博物館にて、2015年2月6日から27日まで、第二次世界大戦以前に南洋各地の日本人が撮影、製作、販売した私蔵の絵葉書1000余枚の中から、厳選した絵葉書100枚余をパネルにし、あわせて当時の現地刊行の邦字新聞や写真集を展示して「日本人が残した写真絵葉書に見る100年前の東南アジア 付アフリカ」展として公開した。パネルは56頁のカタログにすべて掲載し、研究機関、研究者等に配布した。
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