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2014 年度 実績報告書

18世紀後半のゲッティンゲン大学で形成された初期文化人類学の言説研究

研究課題

研究課題/領域番号 24617022
研究機関関西大学

研究代表者

森 貴史  関西大学, 文学部, 教授 (10318743)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード初期人類学 / ゲッテインゲン大学 / 優生学 / ブルーメンバッハ / カンパー
研究実績の概要

オランダの解剖学者ペトルス・カンパーの顔面角理論、ドイツの解剖学者ザムエル・トーマス・ゼメリング、おなじく比較解剖学者ヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハ、博物学者フォルスターなどの18世紀後期ドイツの人類学理論が、つねに〈体型と容貌の美醜〉をきわめて意識しており、それがじつは当時ドイツの考古学者で美術史家のヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンに提唱された古代ギリシア・ローマの美学、すなわち絵画や彫刻で描かれた理想の人間とみなす古典主義美学の影響下にあったことや、かれらの人類学理論と言説が、同時代のスイスの文筆家ヨハン・カスパー・ラーヴァターの観相学、ウィーンの神経解剖学者で生理学者のフランツ・ヨーゼフ・ガルの骨相学へと理論的に大きな影響を与えたことが確認された。
さらにガルの骨相学は、19世紀後半の犯罪人類学イタリア学派創設者で指導者のチェーザレ・ロンブローゾの「生来性犯罪者説」へと継承されて、その方法論は、フランスの犯罪学者で人類学者のアルフォンス・ベルティヨンによる犯罪者の身体的特徴を特定しようとする人体測定法で理論的頂点をきわめたという系譜が明らかになった。
これらの解剖学は、19世紀後期には、ユダヤ人を貶めるための人種理論へと変容していったために、ドイツ人を中心としたヨーロッパ人よりもユダヤ人を劣等とみなす理論的基礎となった。それゆえ、ユダヤ人に対してなされたナチスドイツによる人体実験はすべて、ユダヤ人の劣等性を解剖学的に証明するためになされたのであるが、18世紀の人類学理論の無邪気さとは比較にならない差別的・非人道的なものとなった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 近代エジプト学の成立と所蔵品の帰趨 -ベルリン・エジプト博物館をめぐって-2015

    • 著者名/発表者名
      森 貴史
    • 雑誌名

      The Jounal of Center for the Global Study of Cultural Heritage and Culture

      巻: Vol.2 ページ: 163-178

  • [雑誌論文] 00年代以降の虚構をつむぐということ -小路啓之『犯罪王ポポネポ』原論-2014

    • 著者名/発表者名
      森 貴史
    • 雑誌名

      関西大学文学論集

      巻: 第64巻第1号 ページ: 1-28

  • [図書] ドイツ王侯コレクションの文化史 禁断の知とモノの世界2015

    • 著者名/発表者名
      森 貴史
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 欧米文明にみる集団妄想とカルト症候群(仮)2015

    • 著者名/発表者名
      浜本隆志
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      明石書店
  • [図書] ドイツ奇人街道2014

    • 著者名/発表者名
      森 貴史、細川裕史、溝井裕一
    • 総ページ数
      331(i-v, 193-301)
    • 出版者
      関西大学出版部

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公開日: 2016-06-01  

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