研究課題/領域番号 |
24617024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
王 冬蘭 帝塚山大学, 経済学部, 教授 (80319920)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中国 / 満州 / 能舞台 / 能活動 |
研究概要 |
本研究では、「満州」各地における日本代表劇ー能楽の活動に着目し、二十世紀の最初から1945年まで、各流派の現地公演、能楽組織及び活動など、全体的な歴史の実態を調べ、明確にすることが目的である。 平成24年度は、主に大連や満州における能舞台について調査を行い、大部分をまとめ、「大連・撫順にあった幻の能舞台ー1945年まで現地における能楽活動の場所を中心にー」というテーマで、「芸能史研究会」2013年1月11日の例会で、研究報告をしていた。研究内容は次の通りである。 戦前から1945年に終戦を迎えるまで、大連や撫順に常設の能舞台も作られたが、終戦後、それらの能舞台は瞬く間に別の用途に転用され、そこに能舞台があったということは、今では幻のように関係者の記憶にだけ残っている。しかしながら、現在では幻と化した能舞台の存在は、当時の現地での能楽活動の実態を反映したものである。 本研究では、大連における能舞台の出現、変遷、建造経緯、利用状況などを総合的に考察した。具体的に言えば、1、大連における日本人社会 2、明治後期や大正前期に出現した大連の能舞台(敷舞台) 3、1922年に落成された大連能楽堂 4、1935年に出来た大連能楽堂、5、撫順における能舞台(梅田舞台) 大連や撫順における能舞台について、かつてまとまった検討がされてこなかったので、本研究により、当時の実態を明らかにするという点は重要な意味があると思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、全体のテーマ「満州における日本演劇「能楽」の活動実態調査研究」の中の一つの具体的なテーマである「大連・撫順にあった幻の能舞台ー1945年まで現地における能楽活動の場所を中心にー」についてのまとめは完成が近いが、当初の全体の計画より、やや遅れていると思う。理由は次の通りである。 1、一部の必要な資料を購入することができなかった。たとえば、『満州年鑑』などの本は絶対必要であるが、絶版のため、購入することができなかった。中古品(復刻版を含む)も手にいれることができていない。 2、現地(大連など)では、貴重な資料の場合、資料が見つかったとしても、コピーすることや、写真をとることなど複製することが禁止されているので、写すことなどに時間がかかった。 3、現地での場所確認に時間がかかった。当時の事情を知っている人がかなり高齢なので、直接に尋ねることが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究を予定通り進めたいが、課題をもっと具体的に絞らなければならないと思う。 現在、当時満州における能楽の活動の全体の実態調査研究と同時に、一つ具体的なテーマを主に調べようと思う。それは1935年に宝生流宗家を主として、満州などにおける大規模な能楽上演活動やその大規模な能楽上演活動と各地の能楽組織の関連などの事情を明らかにするということである。当時合計20数名の能楽者が当時の釜山、京城(ソウル)、満州の新京(長春)、奉天(瀋陽)、鞍山、大連、青島、上海を回り、1ヵ月弱大規模な演能活動を行った。この演能活動について、詳しく調査を行いたいと思う。 研究の推進方策として、次のように考える。 1、資料調査にもっと力をいれる。まだ購入できない本を大量複写する。 2、現地調査や現地資料収集をもっと深くする。調べる範囲をもっと広げ、詳しく調査しようと思う。例えば、現地の大学の先生の協力を得て、調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究事情により、今年の調べる範囲をもっと広げなければならない、従って、次年度の研究費の使用を次のように計画している。 1、資料調査 38万 (大連、瀋陽、ハルビン、北京、上海など現地調査、図書館資料収集および日本国内資料調査) 2、資料購入、複写など 22万 3、消耗品、その他 10万 合計 70万
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