研究課題/領域番号 |
24617025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
黒田 晴之 松山大学, 経済学部, 教授 (80320109)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / アメリカ / クレズマー / レベーティカ / セファルディー / アルメニア / 移民 / 同化 |
研究概要 |
第1次世界大戦前後に東欧・南欧(旧オスマン帝国を含む)から、アメリカに渡った移民の音楽を、1) 先ず各民族グループの出身地・アメリカでの展開から、2) 次いで各グループ間の相互作用(インターアクション)の観点から考察する。ある民族の文化が移住先の環境のなかでいかに変化し、この変化がその民族グループにどう影響したか・しなかったかを解明し、最終的には単体の民族文化には収まりきらない、民族横断的な文化交流の記述を模索することが本研究の目的である。移民が曝された移住先の文化への同化圧力と、出身地のローカルな記憶をとどめた文化を継承する努力とを、創造的なせめぎあいとして記述する基礎を提供したい。 こうした研究目的のために、研究実施計画に挙げた収集資料のうち、20世紀前半に録音された音楽資料は、ギリシャ関係のものが中心に集まった(CDが大半だがSPも数点収集しデジタル化した)。この過程で新たに欧米その他で製作されたDVD資料も収集できた。ギリシャ関係の文献もドイツおよび日本の図書館で一定程度集まった。これとは別にクレズマーが第2次世界大戦中、上海で演奏されていた痕跡を、当地での現地調査で確認することができた。本研究が対象にする地域の音楽について、基礎的知識を蓄積するために、同志社大学から横山真紀(真姫)氏、東京外国語大学(アジア・アフリカ言語文化研究所)から吉村貴之氏を招き、2012年12月14日、松山大学にて、「オスマン帝国から羽ばたいた音楽 キリスト教、イスラム、ユダヤの音楽を聴く」と題して公開研究報告会を催した。各報告者の報告内容は以下のとおり。 黒田晴之「オスマンからギリシャへ、ギリシャからアメリカへ」 横山真紀(真姫)「スペイン追放ユダヤ人の歌と音楽」 吉村貴之「ヨーロッパとアジアの出会い アルメニアの近代音楽」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に挙げた収集資料のうち、20世紀前半に録音された音楽資料は、ギリシャ関係のものが中心に集まった(CDが大半だがSPも数点収集しデジタル化した)。この過程で新たに欧米その他で製作されたDVD資料も収集できた。ギリシャ関係の書籍もドイツおよび日本の図書館で一定程度集まった。当該地域の音楽の基礎的知識を蓄積するために、同志社大学から横山真紀(真姫)氏、東京外国語大学(アジア・アフリカ言語文化研究所)から吉村貴之氏を招き、2012年12月14日、松山大学にて、「オスマン帝国から羽ばたいた音楽 キリスト教、イスラム、ユダヤの音楽を聴く」という公開研究報告会を催して、情報および意見の交換を行なった。各報告者の報告内容は以下のとおり。 黒田晴之「オスマンからギリシャへ、ギリシャからアメリカへ」 横山真紀(真姫)「スペイン追放ユダヤ人の歌と音楽」 吉村貴之「ヨーロッパとアジアの出会い アルメニアの近代音楽」 2013年3月24日に行われた立命館大学国際言語文化研究所 シンポジウム「イディッシュ文学が遺したもの」(司会は西成彦氏(立命館大学)・細見和之氏(大阪府立大学))にも、コメンテイターとして参加した。国外のヒアリングを当初予定していたが、アメリカのイディッシュ劇の中心人物に、新たに接触を試みた結果、次年度後半に日本に招聘できることになった。この企画については国内の関係者とともに現在、日程の最終調整している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
20世紀前半に録音された東欧・南欧(旧オスマン帝国関係を含む)の音楽資料、20世紀前半に欧米で制作されたアメリカへの移民に関わる映画ソフト、ワールド・ミュージックのブーム以前に公刊された、当該地域およびアメリカ移民の音楽の研究書、20世紀前半にアメリカ移民が関わった演劇の研究書、アメリカへの移民とその同化に関する研究書を引き続き収集する。 国内でのヒアリングを引き続き実施するとともに、本広告者が連絡を取れる東欧音楽全般の研究者Yale Strom氏(サン・ディエゴ大学教授)などを通じ、当該分野の研究者へのヒアリングを試みる。具体的には前項でも触れたように、アメリカのイディッシュ劇の中心人物に、新たに接触を試みた結果、次年度後半に日本に招聘できることになった。この企画については国内の関係者とともに現在、日程の最終調整している段階である。 学界・在野を問わず関係者に協力を仰ぎ、専門的知見に基づく助言を得る予定である。 本報告者が共訳に関わったスヴェン・ハヌシェク著『エリアス・カネッティ 伝記』(上・下)が、上智大学出版からの5月末の刊行を目指して現在印刷中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本報告者が国内外で資料収集するため、物品費および旅費に研究費を使用する。 前項でも触れたことの繰り返しになるが、アメリカのイディッシュ劇の中心人物に、新たに接触を試みた結果、次年度後半に日本に招聘できることになった。この企画については国内の関係者とともに現在、日程の最終調整している段階であり、招聘するための旅費等に研究費を使用する。
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