本研究の基礎は、ルール6都市における「人口減少まちづくりに関連した新聞記事」の収集である。最終年度においても、この情報収集作業を継続し、5千件強の新聞記事を追加収集した。収集記事は、ダウンロードの後、都市毎に分けた上で分類整理して見出しファイルを作成し、必要な記事を迅速に見出せるようにしている。 ・こうして分類した新聞記事のうち、研究に重要だと思われる事項について、日本語への翻訳を進めた。今年度は、スクラップ不動産と、ドルトムントにおけるBプラン策定に関連するものを重点に進めている。 ・以上の作業を基礎に、ポイントとなる事例を抜き出し、対象6都市の現地視察を行った。新聞記事をもとに視察箇所を設定し、1日に10箇所前後のペースで、7日半を費やした。 ・人口減少が進行しているルール地方では、不動産の空家や老朽化が「スクラップ不動産」として問題になっている例がいくつかある。そこで、これらスクラップ不動産に関する情報を整理し、経過や行われた対策、その限界についてまとめた。この結果は、「ルール地方におけるスクラップ不動産の現状と対策 - 人口減少地域における住宅建築の空家化と老朽化の進行」として、平成26年度日本建築学会大会学術講演会で発表した。 ・ドイツのまちづくりは、Fプラン(土地利用計画)とBプランという二段階の建設誘導計画によって進められており、策定開始、住民参加と発効の際には告示が行われる。そこで、この告示を利用し、ドルトムントに関して、2004 年末に新Fプランが発効した後の10年間である2005~2014年のBプラン策定の進行を分析した。分析の重点は、策定手続きの種類と特性、Bプランの成立状況、公的な住民参加手続き、Fプランからの展開、およびプロジェクト型Bプランである。成果を、平成27年度日本建築学会大会学術講演会で発表する予定にしている。
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