研究課題/領域番号 |
24618002
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
乾 康代 茨城大学, 教育学部, 教授 (90334002)
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研究分担者 |
田中 宏子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (00324559)
藤本 佳子 千里金蘭大学, 現代社会学部, 名誉教授 (30123540) [辞退]
森田 芳朗 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (50396769)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 福島第一原発事故 / 住宅再建 / 避難者 / 子どものいる避難世帯 / 避難者支援 / マンション |
研究実績の概要 |
茨城県の住宅被害と居住地の放射能汚染は大きく,住宅被害は半壊以上2万7000棟,除染対象となる汚染状況重点調査地域は県内の半数近い20自治体に指定された。本研究は,県内の住宅被災地域の住宅被害の特徴と再建進捗状況,放射能被曝から逃れた県外避難者の避難実態,マンションの被害と管理実態について調査をおこない,生活再建支援課題について検討した。主な結果は以下のとおりである。 茨城県では,県北地域と鹿行地域で住宅被害が大きかった。これら2地域を中心に7地区を取り出し定点観測的に調査を実施した。県北地域は震災前から人口は減少していたが,7地区の多くで震災後3年の間に急減した。震災から3年,従前居住地に帰還している人は7~9割,別住宅居住は1~3割であった。別住宅居住の多くは大規模半壊以上の住宅被害者で,津波被災地に集中している。被災者生活再建支援金の受給率は全壊の被災世帯でも60%であった。再建できない世帯が多いためで,その結果,再建に対して支給される加算支援金の受給率がすすまなかった。 県外避難者の従前居住地は,住宅被害だけでなく放射能汚染もひどかった県北地域と鹿行地域が多かった。避難事由は,放射能被曝退避6割,住宅被害が3割,前者は母子避難,後者は高齢者世帯が多数であった。放射能被曝避難者はすべて自主避難であるが,支援対象者として住宅を提供している自治体は6割,その一方で支援のない自治体もあった。 地方では,持家住宅,耐震性の低い古い住宅が多く,これらの住宅に住んでいた高齢者世帯が住宅被害の多数を占めたことから,高齢者世帯への自力再建支援を充実させる必要がある。また,県外避難者に対する住宅支援は,自治体によって差が大きいが,やむを得ず避難した人々の避難生活基盤を提供するため一定の基準設定が必要となることなどを指摘した。
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