研究課題/領域番号 |
24618005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中井 検裕 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (80207711)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 団地再生 / 空間資源 / アクティビティ |
研究概要 |
平成24年度は、本研究の初年度として、全国の公的住宅団地の状況と課題の把握および団地の空間資源の分析と評価を一部行った。 まず研究の第1段階として、基礎データの収集を目的に、全国の公的住宅団地の状況把握を行った。主に都市再生機構(以下、UR)の住宅団地について、その場所・規模・建設年数・入居状況・建替え動向・認識している課題および再生方針(の有無や内容)を担当部局へのインタビューにより調査した。 次に、団地の空間資源についての基礎分析を行った。当初より意図・設計された空間資源について、まず一般的な考え方の整理として既存の言説のレビューを行った。具体的には団地に関する書籍や住宅・建築系雑誌、URの独自資料等を調査し、「団地の魅力に資する空間資源とは何か」について分析・考察を行った。またこの作業を通じて複数の団地(桜ヶ丘、武蔵緑町、小平、鶴川、袖ヶ浦)を選定し、当初設計時の考え方などについて関係者にインタビュー調査を行った。これによって事例独自の意図の整理を行った。 さらに、人々の生活活動(これを本研究ではアクティビティと称する)が空間資源の価値を規定するという考え方から、建物内外の空間や施設等居住サービス機能の使われ方を調査・分析し、隠れた空間資源の発見や、空間資源の質の評価を行った。具体的には対象団地の活動観察調査、住民へのワークショップ形式の集合インタビュー調査を中心に行った。そして先の設計者へのヒアリング結果と比較することで、設計意図の成否や利用実態との乖離、意図しない空間資源の発生があったことが明らかになった。 またわが国の状況を相対化するため、海外の団地再生事例の調査を行う予定であったが、今年度についてはイギリスの団地再生についてその詳細を現地視察と関係者のヒアリングで調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に即して設定した研究の段階について、平成24年度は次の事項を行うと計画した。まず1)全国の公的住宅団地の状況と課題の把握、そして2)団地の空間資源の分析と評価、特に当初より意図・設計された空間資源の分析および居住・利用の中から生まれてきた空間資源とそれらの齟齬、である。また海外調査を並行して行うものとしていた。 この計画の大枠についてはほぼ当初の計画通り研究作業を進めており、予定した項目についての知見は得られている。 当初の計画より異なった部分については、たとえばUR以外の団地(公営、公社)を対象から外していること、地域資源の分布についてはアンケートではなくインタビュー調査が主であること、などであるが、前者は計画時より最大の団地所有者であり全国の状況を把握できるURを先行させることを想定しており、後者については調査内容が詳細かつケースごとに異なるため、一律に問うアンケートでは把握が困難な事象を捉えるためにメインの調査方法を変更したためである。したがって、計画時の想定と大きく異なるものではないため、全体として順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は引き続き地域空間資源の分析を行うが、この段階以降は実際に建替が生じる際に残すべき空間資源はなにか、またその残し方はどのように行われるべきかが課題となる。 平成24年度についてUR担当部局と調整が図れる体制が構築できたので、引き続きその体制を利用・発展させ、意見交換と情報収集が可能となるよう努める。また公営、公社の住宅団地についても調査・分析を行うべく、各自治体・公社の担当者と連絡体制を構築する予定である。 このために必要な人員については学生および研究員を確保し、滞りなく研究が進められるよう配する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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