研究課題/領域番号 |
24618010
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
玉川 英則 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10171886)
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研究分担者 |
野澤 康 工学院大学, 建築学部, 教授 (00251348)
市古 太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10318355)
河村 信治 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (80331958)
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キーワード | 東日本大震災 / 復興計画 / 岩手県野田村 / 生業体験 / シャレットワークショップ |
研究概要 |
平成25年度も当初より、八戸高専メンバーを中心として、現地・岩手県野田村の最新の動向把握に努めた。また5月には研究代表者が現地にて、復興状況および生業状況の予備調査を行った。農業関係者、漁業関係者、木工業者、村の総務課職員、基本計画策定を行っているコンサルタントに順次ヒアリングを行い、村内の生業活動を把握した。また、宿泊は、村内の民家を保存・修復した民宿で行い、観光業としての可能性を探った。以上から得られた情報をもとに、研究スタッフ全員で夏に行うべき活動のあり方を議論した。その結果、現地の生業を実際に体験する中で、復興の課題を考えていくことが重要であるとの結論に至った。 並行して、5月-7月にかけて、首都大学東京・工学院大学において教員とその研究室所属の大学院生により、事前ワークショップ(以下WS)を開催、課題の抽出と今年度の現地での生業体験及びシャレットワークショップ(以下CWS)に向けての目標設定を行った。 以上を経て、上記の現地活動を8月11日-14日に実施、本助成金事業関係の22名に京都大学・弘前大学メンバーを加えた約30名の参加者を、農業1、農業2、農業3、漁業、工房の5グループに分け、それぞれの生業をほぼ2日間にわたり体験した。最終日には現地にて、体験から得られたものとそれを通じて考出された提言の素案を発表する形でのCWSを行った。 その後、現地での情報を各大学に持ち帰り、各グループが議論を重ねる中で、さらに提言を精査した。11月には東京にて首都大学東京・工学院大学の教員・学生及び八戸高専の教員がWSを行い、今年度としての最終提言をまとめた。2014年2月には、その提言の現地報告会という形でのCWSを行い、広く村民の方々を交え活発な議論が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究は、この研究開始当初の計画からは若干方向が変化したが、平成24年度の実績をもとに、より現地の実態に寄り添う形での活動へと転じており、生業体験を踏まえたCWSの成果として一定のまとまりをみている。また、研究の中間報告的な論文発表や学会発表も、後述のとおり着実に行われている。 特に、八戸高専メンバーの日常的活動や、首都大学東京・工学院大学を中心とした事前WSと現地CWS、特に今年度は、村民の方々と長時間密に接する生業体験を行ったことにより、参加者と地元住民の間で信頼関係が醸成されてきている。平成26年2月に現地報告会として行ったCWSの場でも、参加した村民からは活発な意見が出されていた。 さらに、村の行政の動きと歩調を合わせる中で、平成26年度に向けての課題も示されつつあり、最終年度に向けほぼ順調な進展を見せている。
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今後の研究の推進方策 |
研究終了年度となる3年目の平成26年度においては、24年度の成果である空間計画案と25年度の成果である生業体験から得られた提言の両者を踏まえて、最終的な復興計画案をまとめていく。 具体的な活動としてには、まず、前2年度と同様、春から夏にかけて事前準備と予備的なWSを十分行い、現地の生業のあり方と住宅を中心とした生活再建過程の動向を把握する中で、それらをいかに空間計画へ反映させるかを議論していく。 その上で、やはり前2年度と同時期(8月頃)に現地におけるCWSを開催し、地元村民との対話を深める中で復興計画のさらなる精査に努めていく。 最終的には、以上の成果を踏まえながら、避難行動等の防災的要件も考慮し、平常時・発災時ともに重要な交流圏である久慈や八戸との地域連携も視野に入れた、広義のコンパクト居住というコンセプトから復興モデルの検討を進め、提案をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
CWSの日程や宿泊の効率化等により、当初予定より旅費、人件費が少額で済んだため、若干の残額が生じた。 最終年度である平成26年度は、さらにCWSの規模の集約化を考えているが、当初よりは、やや規模を大きくして行える可能性があり、その点で柔軟に対処したい。
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