研究概要 |
2012年度の「研究の目的」、「研究実施計画」では、欧米における住宅政策のタイプをソーシャル・マーケットとコマンド・システムに区分し、この2つのタイプにアフォーダビリティ型とセーフティネット型の住宅手当を対応させたマークステファンなどの論旨を日本に応用すべく、労働市場の変容をふくめた論点の深化と外国研究者との交流を意図していた。 前者については、高齢者住宅財団の発行する『いい住まい・いいシニアライフ』に「居住水準を保障する住宅手当(スウェーデン)」(vol.109,2012年7月)、「居住水準を保障する住宅手当(フランス)」(vol.110,2012年9月)、「岐路にたつ所得補塡としての住宅手当(イギリス)」(vol.111,2012年11月)、「住宅手当・支出増大の要因はなにか(イギリス)」(vol.113,2013年3月)、「周辺としての若者、一人親世帯、単身高齢者」(vol.114,2013年5月)を連載中である。 この連載の主旨説明は、「国の制度としての住宅手当の不在は、経済成長、終身雇用・年功序列の賃金体系、社宅等に支えられながら、最終的には持家取得に至る、という日本型雇用システムと相関していた。しかしながら1990年代後半からの失業率の上昇、非正規労働の拡大は、日本型雇用システムを不安定化させ、住宅手当の導入が検討されている」というもので、国際比較の観点から、日本の状況を検討している。 後者(外国研究者との交流)については、フランスからFrederique PIEUCHOT氏を2012年7月に招聘し、住宅手当と社会住宅の実態について、日仏の比較について研究会を実施した。
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