研究課題/領域番号 |
24618012
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
新井 信幸 東北工業大学, 工学部, 准教授 (20552409)
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研究分担者 |
米野 史健 独立行政法人建築研究所, その他部局等, その他 (60302965)
古山 周太郎 奈良県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80530576)
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キーワード | 東日本大震災 / 民間賃貸 / 借り上げ仮設住宅 / 居住実態 |
研究概要 |
平成25年度は、①岩手県内の借上げ仮設居住実態アンケート調査(マクロ調査)、②仙台市内のプレハブ仮設入居実態のアンケートおよびヒアリング調査(ミクロ調査)を実施した。 岩手県内の借上げ仮設居住実態調査では、岩手県が2013年10月までに借り上げた計4051件のうち、退去した593件を除いた計3458件を対象とし、郵送でのアンケート調査を実施した(回収率51.1%)。その結果、同じ市町村内で住まいが確保できたのは約5割で、物件がみつからず転出していったことが伺えた。また、現在も借り上げ仮設に住む世帯のうち、約7割が住宅再建の見通しがたっていないとしている。それとともに、借り上げが終了した後も住み続けたいという世帯は約7割にのぼるが、家賃負担は困難な状況もうかがえる。 仙台市内のプレハブ仮設入居実態のアンケートおよびヒアリング調査は、借り上げ仮設と入居プロセスを比較することで、それぞれの特性を明らかにしようとするもので、多様な地域からの入居がみられる「あすと長町仮設住宅」を対象に実施した。アンケートは配布151件、回収119件、回収率78.8%であった。ヒアリングは、世帯類型、被災前居住地等のバランスをふまえて13世帯で実施した。その結果、消極的な理由で入居に至ったケースが多く、特に民間賃貸住宅への入居を希望していたものの適当な物件をみつけられず、プレハブ仮設に入居することになった高齢世帯等が多いことが把握できた。その理由としては、適当な間取りがみつからなかった、ペットを飼っていたいため入居できなかった等があげられた。また、借り上げ仮設の制度を知らなかった世帯もみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
借り上げ仮設住宅のマクロ調査においては、仙台市での入居者アンケート調査の集計分析、岩手県での賃貸借契約書および居住実態調査の集計分析、行政担当部局へのヒアリングを実施し、ミクロ調査においては、岩手県住田町および仙台市での入居者ヒアリング調査を実施し、それぞれ当初計画通り進んでいる。以上の調査から、これまでの研究成果として、応急段階における借り上げ仮設住宅の物件内容、選択行動と入居過程、居住実態と課題、住宅再建に向けた取組状況等について、全体傾向と実態の詳細の把握が同時に進んでいる。 なお当初計画していた、県外・広域移動を対象にしたマクロ・ミクロ調査については、調査対象を適切に設定することが難しい状況にあったのと、県内(岩手県・宮城県)だけでも作業量が多く、調査としての対応が困難であったことから、今後、他研究者や行政職員へのヒアリングなど情報で補足する方針である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の継続調査として、岩手県においては、移転傾向の要因を探る住田町等でのミクロ調査を継続して実施していくことを予定している。さらに、各地の居住支援協議会や不動産業界団体へのヒアリングを通して、借り上げ仮設住宅の制度的な課題等を多角的に捉える。そのうえで、平時の民間賃貸居住支援体制との整合等をふまえて、借り上げ仮設住宅への円滑な入居のための支援策、ミスマッチの解消策等、制度・仕組みの具体的な改善策などを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた県外・広域移転(関西地方など)を対象にしたマクロ・ミクロ調査が、県内(岩手県・宮城県)だけでも作業量が多く、調査としての対応が困難であったため、旅費の使用が抑えられたことが理由である。 平成26年度に、県外・広域移転(関西地方など)を対象にした他研究者や行政職員へのヒアリング調査などで情報収集を図る予定である。
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