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2013 年度 実施状況報告書

ヒト神経幹細胞成立及び分化の機構解明を目指したタンパク質分子基盤の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24619001
研究機関千葉大学

研究代表者

赤間 邦子  千葉大学, 普遍教育センター, 教授 (50114228)

研究分担者 井上 順雄  首都大学東京, 大学院人間健康科学研究科, 客員教授 (50159985)
中山 孝  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90150060)
キーワード前期神経幹細胞 / 後期神経幹細胞
研究概要

ヒトES細胞からNeural Stem Sphere法で分化誘導した均質な前期神経幹細胞、後期神経幹細胞から、タンパク質を尿素と界面活性剤を含む緩衝液で抽出した。超遠心法によりDNAを除去後、還元アルキル化し、脱塩した。2012年度に引続き、SDS-PAGEで分離後、LC-MS/MSで分析する方法で、さらに2回分析を行ない、再現性を確認した。
一方、脱塩試料を8 M尿素/2%CHAPS含有緩衝液(pH 8.5)に再可溶化し、各細胞由来のタンパク質をそれぞれ IC5(同仁化学研究所、ex = 640 nm,em = 660 nm)で標識した。また、各細胞由来のタンパク質を等量ずつ混ぜ IC3(同仁化学研究所、ex = 550 nm,em = 570 nm)で標識したものを内部標準試料とした。IC5で標識したものとIC3で標識したものをそれぞれ等量ずつ混ぜ、二次元電気泳動により分離し、それぞれの蛍光波長でゲルイメージを取得した。これらの操作を3回行い、発現量の変化をProgenesis(version 4.5)で調べた。その結果、ES細胞から後期神経幹細胞への分化過程でAnovaを用いた統計解析により有意の差があるスポットが18個検出された。それらのスポットを切り出し、ゲル内でトリプシン消化後、MALDI-TOF-MS/MS(ABSciex-5800)でタンパク質を同定した。ES細胞から前期神経幹細胞へかけて、及び、ES細胞から後期神経幹細胞へかけて発現量が増加するタンパク質としてそれぞれcoactosin-like protein及びcalbindin、前期神経幹細胞から後期神経幹細胞へかけて発現量が増加するタンパク質として14-3-3 protein epsilon、ES細胞から後期神経幹細胞へかけて発現量が減少するタンパク質としてthioredoxin等が同定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

SDS-PAGE後、LC-MS/MSにかけて分析する方法を計3回実施し、再現性を確認した。今後、同定された発現量変化を示すタンパク質が関与すると考えられる代謝経路の推定を行なう予定である。
一方、翻訳後修飾を含むタンパク質分子全体の情報を得るため、抽出したタンパク質を一次元目が等電点電気泳動、二次元目がSDS-PAGEの二次元電気泳動で分離し、各分化の過程で発現量が増減したタンパク質のうち7個を同定した。発現量が少ないため、確かな同定が出来なかったタンパク質スポットについては、今後、二次元電気泳動にかけるタンパク質量を増やして同定する予定である。
これらの結果から見出された発現量変化を示すタンパク質の、mRNAレベルでの発現量変化をRT-PCRを用いて調べるのも平成26年度に行う予定である。

今後の研究の推進方策

尿素と界面活性剤を含む緩衝液を用いて抽出したタンパク質について分析を行った。しかし、この方法では内在性の膜タンパク質を十分に抽出することは困難である。そこで、抽出した粗タンパク質分画を超遠心することにより沈殿として得られる、DNA・膜タンパク質分画から、phase transfer surfactant 法を用いて膜タンパク質由来のペプチドを抽出し、ジメチル化標識後、LC-MS/MSで分析する方法を試みたが、ペプチドの分離が十分でないため、同定されたタンパク質の定量的な評価は困難であった。一方、phase transfer surfactant法で抽出したペプチドを、チップに充填した逆相系樹脂を用いて、pH 10でアセトニトリルの段階的濃度勾配溶出法により分離した後、LC-MS/MSで分析したところ、ペプチドの分離が大幅に改善され、タンパク質の同定数がかなり増加することがわかった。今後、この方法を神経系細胞の膜タンパク質の分析に用いる予定である。

次年度の研究費の使用計画

25年度購入予定の物品と分析センターを通じての試料分析について、業者の都合及び先方の都合で請求が26年度4月以降となってしまうため、当該物品及び分析に支出予定だった25年度の科研費は次年度へ繰り越しする。
抽出した粗タンパク質分画を超遠心することにより沈殿として得られる、DNA・膜タンパク質分画を用いて、phase transfer surfactant法により膜タンパク質由来のペプチドを抽出し、チップに充填した逆相系樹脂を用いて、pH 10でアセトニトリルの段階的濃度勾配溶出法により分離した後、LC-MS/MSで分析する。
一方、二次元電気泳動で分離したが、発現量が少ないため、確かな同定が出来なかったタンパク質スポットについては、今後、二次元電気泳動にかけるタンパク質量を増やし、MALDI-TOF-MS/MS、及び、LC-MS/MSで同定する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of heat shock on survival, proliferation and differentiation of mouse neural stem cells2014

    • 著者名/発表者名
      Omori, H., Otsu, M., Suzuki, A., Nakayama, T., Akama, K., Watanabe, M., Inoue, N.
    • 雑誌名

      Neuroscience Research

      巻: 79 ページ: 13-21

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.neures.2013.11.005

    • 査読あり
  • [学会発表] Mechanistic Analysis on Potent Intermolecular Isomarase Activity of Protein Disulfide Isomerase-P5 with down-regulation in Sperm Maturation Highlighted by Electrophoresis-Based Proteomics

    • 著者名/発表者名
      Miyakawa, M., Shigihara, S., Zukeran, G., Tomioka,T., Totsuka, A., Yoshino, T., Satoh, M., Kado, Iwamoto, M., Miura, Y., Akama, K.
    • 学会等名
      Human Proteome Organization (HUPO) 12th Annual World Congress
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama Japan
  • [学会発表] プロテインジスルフィドイソメラーゼ-P5によるジスルフィド分子間異性化機構の解明

    • 著者名/発表者名
      宮川美保、鴫原俊太郎、瑞慶覧剛輔、冨岡鉄太郎、赤間邦子
    • 学会等名
      日本生化学会 関東支部会
    • 発表場所
      山梨大学
  • [図書] Sexual Reproduction in Animals and Plants, Part I, Chapter 9, Analysis of the mechanism that brings protein disulfide isomerase-P5 to inhibit oxidative refolding of lysozyme, pp. 105-112.2014

    • 著者名/発表者名
      Miyakawa, M., Shigihara, S., Zukeran, G., Tomioka, T., Yoshino,T., Akama, K. In: Sawada, H., Inoue, N., Iwano, M. (Eds.)
    • 総ページ数
      480
    • 出版者
      Springer, Tokyo Heidelberg New York Dordrecht London
  • [図書] プロテオミクス辞典2013

    • 著者名/発表者名
      赤間 邦子(分担執筆) 日本プロテオーム学会 編
    • 総ページ数
      127
    • 出版者
      講談社
  • [備考] 千葉大学理学部/大学院理学研究科 化学コース 機能物質化学領域 生命化学講座 高分子機能化学研究室

    • URL

      http://pchem2.s.chiba-u.ac.jp/chem/lab/akamalab/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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