翻訳後修飾タンパク質の検出や構造解析は,医学・薬学の分野において重要である.タンパク質の同定は,そのタンパク質の消化物の質量分析によって行われる.しかし,消化生成物のペプチドはイオン化効率が一律でないため,検出感度が低いペプチドがある.これまでペプチドの検出感度の低下に関する詳細な議論は行われていない.本研究ではペプチドの物性とイオン収量の関係を系統的かつ定量的に評価した.多くの疎水性アミノ酸残基を含むペプチドは正負イオンともにより高い収量を示した.ESIにおいて試料分子のイオンの気化流束はイオン化効率よりもイオン収量に与える影響が大きいことが定量的に示された.
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