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2014 年度 実施状況報告書

アミン性代謝物へのフォーカシングによる新測定技術の開発とメタボロミクスへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 24619009
研究機関福岡大学

研究代表者

山口 政俊  福岡大学, 薬学部, 教授 (50117280)

研究分担者 轟木 堅一郎  静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (70341451)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード分析化学 / アミノ酸 / フルオラスケミストリー / 質量分析 / 固相抽出
研究実績の概要

本研究では,生体内におけるアミン性代謝物のみを選択的に測定し得る分析法の開発とその基盤整備を試みた。今回,その目的を達成すべく,先ずは対象物質をアミノ酸に限定し,それらのパーフルオロアルキル誘導体をフルオラス相互作用による固相抽出で精製した後,直接MS装置へ導入して測定するといった手法を開発した。本法は、フルオラス相互作用によって誘導体を効果的に精製していることから,試料夾雑成分の影響(マトリックス効果)を受けることなく,それらを分析することが可能であるばかりか,LC分離を伴っていないことから,極めて迅速な測定をも可能とした。一方,試料の誘導体化と固相抽出による前処理は,操作全般を煩雑化してしまうおそれがあったが,本研究では,新たに作製したパーフルオロアルキル基が修飾されたモノリス型スピンカラムを利用することにより,その操作を簡便化することに成功した。さらに,本法をヒト血漿試料へと応用したところ,良好な回収率と再現性をもってアミノ酸の測定を行うことが可能であることを確認した。今年度は,複数の健常人より得られた血漿及びDried spot blood(DBS)によりサンプリングした試料を用いて,本法のさらに詳細なバリデーション試験(マトリックス効果の有無を含む)を行った。その際,モノリス型スピンカラムによる条件を再検討し,より迅速かつ高効率な抽出を行えるよう,本手順の再構築を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は,新たに作製したモノリス型スピンカラムの性能評価、抽出条件の再設定,並びに健常人血漿試料及びDBSサンプルを用いた詳細なバリデーション試験を実施した。その結果、本法をさらに迅速かつ高効率化することに成功した。その後、本法を先天性アミノ酸代謝異常症モデルマウス及びそのコントロールマウス試料(血液や尿)へと本法を適用し,その臨床的な有用性を評価していく予定であったが,それらモデルマウス試料の調整及び入手が遅延してしまい,その検討がやや遅れてしまっている。

今後の研究の推進方策

本法の臨床的な有用性及び実用性を検証すべく,先天性アミノ酸代謝異常症モデルマウス試料へと本法を適当することとする。モデルマウスとしては,先ずはメープルシロップ尿症及びフェニルケトン尿症マウスの試料を用いることとし,それらの測定結果から,本法の有用性を評価する。さらに,アミノ酸代謝異常症のみならず,他の疾患のモデル試料などへ本法を適用し,それら試料のアミノ酸の測定結果からメタボロミクス的解析を試み,例えば,コントロール試料との違い,あるいは疾病種の違いを明確化するなどといいった検討を行っていくこととする。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、作製したモノリス型フルオラススピンカラムによる抽出条件の再検討を行った後、健常人血漿試料及びDBSサンプルを用い、本法のバリデーションを詳細に検証するとともに実試料への有用性を確認した。今後は、先天性アミノ酸代謝異常症モデルマウス及びそのコントロールマウスなどへと適用し、本法の臨床的な有用性・実用性を検証していく予定であったが、モデルマウス試料の調整・入手が遅延しており、本検討を今年度までに終了させることができなかった。

次年度使用額の使用計画

本法の臨床的応用性を検証すべく、先天性アミノ酸代謝異常症モデルマウス試料への本法の適用を試みる。モデルマウスとしては、先ずはメープルシロップ尿症及びフェニルケトン尿症マウスの試料を利用する予定であり、それらの分析に関する試薬費、前処理用器具費並びに分析機器の消耗品費に、研究費を充てる予定である。その他の疾患モデル試料の調整費などについても可能であれば使用していく予定である。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Selective Extraction of Nucleotides with Fluorous Biphasic System Utilizing Perfluoroalkylamine as an Ion-pair Reagent2015

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Hayama, Ena Kiyokawa, Hideyuki Yoshida, Osamu Imakyure, Masatoshi Yamaguchi, Hitoshi Nohta
    • 雑誌名

      Chromatography

      巻: 36 ページ: 13-18

    • DOI

      10.15583/jpchrom.2015.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フルオラスの選択性を利用した細胞試料中ヌクレオチド類の金属キレートアフィニティー抽出2014

    • 著者名/発表者名
      巴山 忠,薬師寺寿世,川見祐介,糸山美紀,吉田秀幸,能田 均,山口政俊
    • 雑誌名

      Chromatography

      巻: 35sup2 ページ: 21

  • [雑誌論文] Liquid Chromatography/Tandem Mass Spectrometry with Fluorous Derivatization Method for Selective Analysis of Sialyl Oligosaccharides2014

    • 著者名/発表者名
      Yohei Sakaguchi, Tadashi Hayama, Hideyuki Yoshida, Miki Itoyama, Kenichiro Todoroki, Masatoshi Yamaguchi, Hitoshi Nohta
    • 雑誌名

      Rapid Communications in Mass Spectrometry

      巻: 28 ページ: 2481-2489

    • DOI

      10.1002/rcm.7042

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fluorous Affinity-based Separation Techniques for the Analysis of Biogenic and Related Molecules2014

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Hayama, Hideyuki Yoshida, Masatoshi Yamaguchi, Hitoshi Nohta
    • 雑誌名

      Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis

      巻: 101 ページ: 151-160

    • DOI

      10.1016/j.jpba.2014.04.035

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Assessment of the Efficacy of Anticancer Drugs by Amino Acid Metabolomics Using Fluorescence Derivatization-HPLC2014

    • 著者名/発表者名
      Ryoko Tomita, Kenichiro Todoroki, Kazuyuki Machida, Sho Nishida, Hiroshi Maruoka, Hideyuki Yoshida, Toshihiro Fujioka, Manabu Nakashima, Masatoshi Yamaguchi, Hitoshi Nohta
    • 雑誌名

      Analytical Sciences

      巻: 30 ページ: 751-758

    • DOI

      10.2116/analsci.30.751

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フルオラス-金属キレートアフィニティー試薬を用いたリン酸基含有化合物の選択的抽出法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      巴山 忠、井上裕也、川見祐介、糸山美紀、吉田秀幸、能田 均、山口政俊
    • 雑誌名

      Chromatography

      巻: 35sup1 ページ: 107-108

  • [雑誌論文] モノリス型フルオラス固相カラムを用いたパーフルオロアルキルアミノ酸の精製とLC-MS/MS分析2014

    • 著者名/発表者名
      玉嶋江莉奈、巴山 忠、川見祐介、糸山美紀、吉田秀幸、能田 均、山口政俊
    • 雑誌名

      Chromatography

      巻: 35sup1 ページ: 61-62

  • [学会発表] LC-MS/MSによるアミノ酸メタボロミクス ー低酸素・栄養飢餓状態で培養した大腸がん細胞DLD1についてー2015

    • 著者名/発表者名
      冨田陵子、西田 翔、巴山 忠、轟木堅一郎、吉田秀幸、丸岡 博、中島 学、能田 均、山口政俊、藤岡稔大
    • 学会等名
      日本薬学会第135年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-27
  • [学会発表] フルオラスの選択性を利用した細胞試料中ヌクレオチド類の金属キレートアフィニティー抽出2014

    • 著者名/発表者名
      巴山 忠,薬師寺寿世,川見祐介,糸山美紀,吉田秀幸,能田 均,山口政俊
    • 学会等名
      第25回クロマトグラフィー科学会議
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-12-12
  • [学会発表] 亜鉛固定化Krytoxを利用したテトラサイクリン系薬剤の選択的フルオラス二相系抽出2014

    • 著者名/発表者名
      古森貴子,清川恵奈,巴山 忠,川見祐介,糸山美紀,吉田秀幸,能田 均,山口政俊
    • 学会等名
      第31回日本薬学会九州支部大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-12-06
  • [学会発表] 金属固定化フルオラス試薬を利用したテトラサイクリン系抗生物質の選択的抽出法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      清川恵奈,古森貴子,巴山 忠,川見祐介,糸山美紀,吉田秀幸,能田 均,山口政俊
    • 学会等名
      第27回バイオメディカル分析科学シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-08-20
  • [学会発表] ジルコニア-リン酸基間の特異的親和性を利用した分離指向性誘導体化法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      大塚恵未、川見祐介、糸山美紀、巴山 忠、吉田秀幸、能田 均、山口政俊
    • 学会等名
      第32回九州分析化学若手の会 夏季セミナー
    • 発表場所
      北九州
    • 年月日
      2014-07-24
  • [学会発表] マイケル付加反応を介したクルクミンのフルオラス誘導体化と選択的HPLC分析2014

    • 著者名/発表者名
      林英里奈、寺崎友理、巴山 忠、川見祐介、糸山美紀、吉田秀幸、能田 均、山口政俊
    • 学会等名
      第32回九州分析化学若手の会 夏季セミナー
    • 発表場所
      北九州
    • 年月日
      2014-07-20
  • [学会発表] フルオラス誘導体化LC-MS3によるバソプレシンの高感度かつ高選択的分析法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      竹下理紗、玉嶋江莉奈、巴山 忠、川見祐介、糸山美紀、吉田秀幸、能田 均、山口政俊
    • 学会等名
      第32回九州分析化学若手の会 夏季セミナー
    • 発表場所
      北九州
    • 年月日
      2014-07-20
  • [学会発表] イミノ二酢酸型フルオラス試薬を利用したリン酸基含有化合物の金属キレートアフィニティー/フルオラス二相系抽出2014

    • 著者名/発表者名
      薬師寺寿世、濱古賀好、巴山 忠、川見祐介、糸山美紀、吉田秀幸、能田 均、山口政俊
    • 学会等名
      第32回九州分析化学若手の会 夏季セミナー
    • 発表場所
      北九州
    • 年月日
      2014-07-20
  • [学会発表] フルオラス-金属キレートアフィニティー試薬を用いたリン酸基含有化合物の選択的抽出法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      巴山 忠,井上裕也,川見祐介,糸山美紀,吉田秀幸,能田 均,山口政俊
    • 学会等名
      第21回クロマトグラフィーシンポジウム
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-06-05
  • [学会発表] モノリス型フルオラス固相カラムを用いたパーフルオロアルキル化アミノ酸の選択的抽出とLC-MS/MS分析2014

    • 著者名/発表者名
      玉嶋江莉奈,巴山 忠,川見祐介,糸山美紀,吉田秀幸,能田 均,山口政俊
    • 学会等名
      第21回クロマトグラフィーシンポジウム
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-06-05

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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