研究課題/領域番号 |
24619011
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
本郷 やよい 独立行政法人理化学研究所, 連携支援ユニット, 専任技師 (40435681)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 質量分析 / 機器分析 / 分子構造解析 / 分析化学 |
研究実績の概要 |
計画3年目にあたる平成26年度は、各種標準化合物に加えて天然物実サンプルからの単離化合物に対し本研究で検討したエネルギー分解インモビリティー質量分析を使った構造解析を行った。共同研究者が開発した微生物代謝産物フラクションライブラリーより単離され化合物は、NMRにより新規環状デプシペプチドと最終的に構造決定された。この化合物に対するエネルギー分解インモビリティー質量分析実験では、positive-ion modeではプロトン付加分子、ナトリウムイオン付加分子ともに明確な環状構造が示されなかった。しかし、negative-ion modeでは脱プロトン化分子はコリジョンエネルギーの段階的な上昇とともにイオン形状が有意に変化することを観測できた。これは活性化エネルギーの上昇に伴い環状構造のイオンから開環構造のイオンへ変化したことを示唆する。特にデプシペプチドである本化合物は環構造中に一箇所のエステル結合をもち、そこが優先的に開裂することからインモビリティーで環状イオンと開環イオンの識別に至ったと考えられる。ただし、positive-ion mode ではインモビリティークロマトグラム中に複数のピークが存在し、生成したイオンが複数のイオン構造をとるために、活性化エネルギーの上昇に伴う明確なイオン形状変化を観測できなかったと考えられた。現在までに構造解析に関して学会発表が2件行われた。その他、揮発性化合物のDARTイオン化における複数の生成イオンの構造確認においてエネルギー分解インモビリティー質量分析法の有効性の検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は前年度末からの投稿論文が掲載された。また、共同研究者による論文投稿と謝辞掲載も行われた。新たに揮発性化合物に対する本課題で開発された分析手法の適用実験も開始し、成果報告と実験の両方が概ね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに獲得された膨大なデータの取りまとめ、および学会発表や論文投稿など報告活動が主たる研究活動となる。26年度に高額な投稿料支出があったが、他の支出項目とのやりくりで今後も特に問題なく遂行できると考えられる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度初頭に前年度から年度を跨いだ投稿料支払いが比較的高額であったため、その後の年間の支出計画に支障の無い様前倒し請求を行ったが、次年度以降の支出を鑑み節約を心がけたため結果として次年度使用額としての残金が発生した。この分は26年度購入予定だったが納期が長く発注できていなかった消耗品などの購入に充てる。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度は主として結果とりまとめと確認実験等に支出を予定しており、海外出張を伴う国際学会参加を予定していないので、前年度前倒しによる問題は生じないと考えられる。
|