最終年度は、主として本課題で開発した気相中イオン構造を詳細にとらえることで分子構造情報を増やす手法を利用した構造解析応用研究の成果を発表した。特に前生命科学分野での分子構造解析を含む質量分析を共同研究者の協力のもとで行った。2017年度は期間延長年度に当たり、実験はほとんど行わず、データ解析と結果の取りまとめを行った。応用研究課題を遂行する中で、エネルギー分解イオンモビリティー質量分析は、NMRやX線回折など他の分子構造解析手法の適用が難しい、構造未知のピコモルレベルの微量分子構造情報を得るための強力な手法であることが確かめられた。今後は生体由来試料などへの分析応用が期待される。その他、既知の分子のエネルギー分解MSMSスペクトルを利用し、異なる装置間でのイオン解離エネルギーの関わる変数設定と気相イオンのエネルギー獲得状況を比較評価できることが分かり、他機関の研究協力者ともの協働し、今後、多数の市販質量分析装置におけるMSMSの差を評価するプロジェクトに活かされることとなった。
|