本研究では、エレクトロスプレーイオン化で分子構造特異的に出現するイオン種を洗い出し、同一分子で観測されるイオン種ごとのエネルギー分解イオンモビリティーデータを獲得、集積した。その後、衝突解離エネルギー増加とともにイオンモビリティーに現れるイオンの構造異性化が分子構造情報として利用できることを特に環状分子で示した。イオン構造が比較的安定なアルカリ金属付加イオンに対する実験では、衝突解離エネルギー増加に伴うイオンモビリティーに現れる立体構造変化が明瞭に表れ、イオン構造特異的情報として利用できた。イオン種の気相安定性と分子構造に関連付けることで、新たな分子構造解情報を得るための手法となった。
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