放射線の種類によって、誘発されるDNA損傷に特異性が見られるかに関して、CPD損傷定量法の特異性を解析した。CPD損傷を定量する方法として、CPD部位を特異的に切断した後、切断数をアルカリ変性電気泳動法にて検出することで、CPD数を切断数に変換して測定することが可能である。CPD損傷を切断する酵素として、昨年度まではMicrococcus luteusの破砕菌体から得られたタンパク抽出液を塩析法により粗精製したUV endonucleaseを使用していた。粗精製画分には多くの酵素が含まれるため、UV endonuclease以外の酵素によってもDNAが切断される可能性があった。そこで本年度は、市販されておりCPD特異的に切断することが知られている精製酵素であるT4 endonucleaseを使用し、昨年度までと同様の解析を行った。その結果、UV endonucleaseを使用した際と同様の結果が得られたことから、粗精製酵素であるUV endonucleaseを用いた場合でも、精製酵素と同様に、CPDを特異的に切断した結果が得られていたと考えられた。 相同組換えマーカーを導入したゼニゴケ選抜系統を、DNA二本鎖切断誘導試薬であるゼオシン存在下にて培養したところ、50μMにおいて生育程度が約50%に阻害された。またその際、植物体あたり1箇所のβ-グルクロニダーゼの発色が見られたことから、低頻度ながら相同組換えが起こっていることが確認された。
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