研究課題
まず長期間のシロイヌナズナの過重力栽培を試み,花茎における組織形態に与える影響を調べた.20-23日齢の植物体を,光を照射しながら10 Gの過重力環境下で10日間生育させ,花茎の横断切片を観察した.各組織の面積・細胞数を調べた結果,過重力処理による横断面積増加は多くの組織においてみられる一方で,細胞数増加は木部および維管束形成層に限られた.以上より,過重力環境下においては,多くの組織で細胞が拡大生長することで花茎が太くなるとともに,木部においては細胞数を増やすことで花茎の機械的強度を増すことに寄与している可能性が示唆された.次に国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」においてシロイヌナズナを用いて行われた「微小重力下における高等植物の生活環」プロジェクトで得られた,微小重力実験区(µG区),宇宙 1 G対照区,地上対照区の試料を用い,微小重力環境がシロイヌナズナの花茎先端部における内部組織形態に与える影響を調べた.33日間栽培された花茎の先端部に近い節間を切り出した後,固定および樹脂包埋を行い,横断切片を作成した.横断切片をトルイジンブルーOで染色して観察し,花茎の横断面全体と各組織の面積・細胞数を調べた.主にµG区と宇宙1 G区の間で比較した結果,微小重力下においては花茎先端部は細くなり,その際に多くの組織で面積・細胞数の減少が伴うことが分かった.試料数が少ないため,今後再検証の必要はあるが,花茎先端部においては基部に比べ,重力による影響の差が大きく表れる可能性が示された.
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not yet assigned
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