研究課題/領域番号 |
24620006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
一條 知昭 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20513899)
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研究分担者 |
山口 進康 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (20252702)
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キーワード | 宇宙生命科学 / 細菌間遺伝子伝播 / 環境微生物学 |
研究概要 |
細菌の進化や環境適応には、外来遺伝子の取込みが大きく関与している。宇宙環境において、細菌間の遺伝子伝播頻度が上昇する場合、病原遺伝子や抗生物質耐性遺伝子が予測を超えて伝播する可能性が生じ、バイオハザードの要因となる。本研究では、微小重力シミュレーション装置を用いて、微小重力下における細菌の遺伝子伝播頻度や伝播の範囲、伝播に影響を及ぼす因子について、微生物生態学的手法を用いて考究する。 平成25年度は、微小重力下において伝播した遺伝子の消長を明らかとするため、微小重力シミュレーション装置を使用し、受容菌として大腸菌HB101株を、プラスミドとしてpGFPuvを用い、通常重力下と疑似微小重力下での形質転換による遺伝子伝播頻度を測定し、その再現性を確認した。遺伝子伝播頻度は選択培地上に形成したアンピシリン耐性遺伝子(ampr遺伝子)が発現した細菌数にもとづいて算出した。 その結果、昨年度と同様に疑似微小重力下と通常重力下での遺伝子伝播頻度に差は見られなかった。また、細菌内遺伝子増幅法によるシングルセルレベルでの遺伝子伝播の測定も試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微小重力の遺伝子伝播を与える影響を考察するにあたり、大腸菌を受容菌とし、pGFPuvをドナーとした系では、通常重力下とは形質転換頻度に差がない可能性を再現良く示した。また、大腸菌とpGFPuvの組み合わせだけでなく、自然形質転換能をもつ細菌を受容菌とした検討が今後重要であることを見いだした。以上のような成果が得られたので、本研究は,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
・自然形質転換能をもつ細菌を受容菌とした遺伝子伝播実験 自然形質転換能を持つ細菌(Pseudomonas属細菌)を受容菌、pBBR122をドナープラスミドとし、遺伝子伝播頻度を測定する。必要に応じて、これまでにJAXAとの共同研究「MICROBE」において国際宇宙ステーションから4種の細菌を分離している。これら国際宇宙ステーションからの分離株を受容菌として形質転換実験を進め、遺伝子伝播頻度を測定し、細菌種による違いを明らかにする。また、細胞内遺伝子の可視化に向けた検討を行う。 ・環境因子が微小重力下での遺伝子伝播に与える影響 有機物濃度等を変えて、遺伝子伝播実験を行い、環境因子が微小重力下での遺伝子伝播頻度に与える影響を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 25年度請求の研究費と合わせ、主に疑似微小重力装置の消耗品、培地、抗生物質やプラスミド等の分子生物学試薬、蛍光試薬などの物品費を中心胃研究費を使用する。 また、研究成果発表のための旅費および、論文投稿、論文別刷、英文校閲に使用する予定である。
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