本研究では、微小重力シミュレーション装置を用いて、環境中において遺伝子伝播に大きく寄与している可能性が考えられる「形質転換」に着目して、微小重力が細菌間の遺伝子伝播に与える影響の評価を進めた。供試菌には大腸菌、および環境中の自然形質転換能を有する細菌を用い、外来遺伝子には環状化プラスミドを用いた。通常重力下、微小重力下での形質転換頻度を比較したところ、微小重力による影響は小さく、宇宙居住環境における形質転換の起こりやすさは地球上と同程度である可能性が示された。それゆえ、私たちの宇宙居住環境においても、地上と同様に病原遺伝子などの伝播に気をつける必要がある。
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