研究課題/領域番号 |
24621005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 力 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20511885)
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研究分担者 |
森 潔 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60343232)
陳 和夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90197640)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸 / 腎障害 / 好中球ゼラチラーゼ結合性リポカリン(NGAL) |
研究概要 |
臨床研究 1) 102人の閉塞型睡眠時無呼吸疑いで睡眠ポリグラフィー検査を行った患者で血中好中球ゼラチラーゼ結合性リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin: NGAL)濃度を測定し、閉塞型睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)重症度との関連を検討した。持続的気道様圧(continuous positive airway pressure:CPAP)治療症例では治療3か月後に血中NGAL濃度を再測定した。血中NGAL濃度はOSA重症度と有意な正相関を示した(無呼吸低呼吸指数(r=0.24, p=0.01), 4% 酸素飽和度低下指数 (ODI) (r=0.26, p=0.01) )。年齢、体重などの交絡因子を考慮した多変量解析においても4%ODIは独立したNGAL濃度の決定因子であった。102名中25例にCPAP治療を行い、13例が治療コンプライアンス良好でOSAは著明に改善していたが、治療後のNGAL濃度には変化は見られなかった。OSAは血中NGAL濃度上昇の一因となっていると考えられた。しかし、その寄与度は小さくNGAL濃度の変化は他の因子によって影響されるところが大きくOSA特有のバイオマーカーとして用いるのは困難と考えられた。本研究はPLos One 2013; 8:e54184に論文化された。 基礎研究 所有している細胞実験に用いる間欠的低酸素曝露装置にて、培地内で生体同様の間欠的低酸素状態を作り、HeLa細胞、脂肪細胞などで細胞実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
100名を超える閉塞型睡眠時無呼吸患者のNGAL測定により、血中NGALは睡眠時無呼吸の治療前重症度と相関していたが、治療後に有意な変化を示さなかったという知見を学会発表、論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
閉塞型睡眠時無呼吸患者におけるNGALの位置づけに対して論文報告のように一定の見解が得られたので、他のリポカリン系マーカと睡眠時無呼吸の関連を探索する予定である。併せて睡眠時無呼吸類似の低酸素形態が細胞に与える影響を基礎的に検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)間欠的低酸素基礎実験使用のための各種ガス(窒素、二酸化炭素、酸素)の購入 2)各種細胞培養の諸費用 3)NGAL測定の諸費用 4)呼吸器関連諸学会出席の交通費、宿泊費及び論文執筆にかかわる諸経費 5)その他の消耗品など
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