研究課題
昨年度の閉塞型睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)と血漿neutrophil gelatinase associated lipocalin (N-GAL)の関連報告(PloS One 2013; 8:e54184)に加えて本年度は下記基礎研究を行った。各種細胞に対するOSA様の間欠的低酸素曝露の影響を調べるため、生体同様の環境下で培養実験を行う方法を確立した。血管内皮と同様に、OSAにて肺上皮細胞は間欠的低酸素曝露下にあるため、条件確立と細胞内環境変化解析を目的に気道上皮(BEADS-2B)、肺胞上皮(A549)にて実験を行った。簡便であるBEADS-2B細胞の傷害/修復モデルを用いてpreliminaryに間欠的低酸素の影響を評価した。実験条件を様々に改良し良好な再現性を確立し、間欠的低酸素曝露下では気道上皮細胞の傷害からの修復は有意に阻害されるという結果を得た。続いて行った肺胞上皮細胞の修復も同様に阻害された。この現象はN-アセチルシステインにても完全には抑制できなかった。
2: おおむね順調に進展している
すでに、臨床的に閉塞型睡眠時無呼吸とNGALの関連を誌上発表しており(PloS One 2013; 8:e54184)、さらに、各種細胞に対する間欠的低酸素曝露の実験系を確立し、気道上皮細胞および肺胞上皮細胞の傷害修復過程において、有意な結果が再現性をもって確認されているため。
間欠的低酸素に誘導される酸化ストレスには複雑な背景が存在することが分かり、現在はSOD、カタラーゼ、NADPHオキシダーゼ、チオレドキシンなど様々なレベルでの解析を行っている。これらの結果を得たうえで、血管内皮とNgal発現メカニズムの検討に移行する予定である。さらに、臨床的には閉塞型睡眠時無呼吸患者の血管内皮機能と血漿NGALの関連を検討する予定にしている。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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