研究課題/領域番号 |
24621006
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
堀口 淳 島根大学, 医学部, 教授 (90136317)
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研究分担者 |
岡崎 四方 島根大学, 医学部, 助教 (20379671)
安田 英彰 島根大学, 医学部, 助教 (30379680)
宮岡 剛 島根大学, 医学部, 准教授 (50284047)
和氣 玲 島根大学, 医学部, 講師 (60609262)
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キーワード | 周期性四肢運動 / 脊髄自動反射 / バビンスキー反射 / ワンテンベルグ反射 / アカシジア |
研究概要 |
【研究の目的】アカシジアの病態における周期性四肢運動をモニタリングする。そこで①PolymateIIを用いて24時間以上の脳波・筋電図の連続モニタリングが可能であるかを検討する目的で夜間勤務の看護師3名の仮眠中脳波を約2時間ずつ計測した。②睡眠中の四肢運動記録の検討を目的に夜間の脊髄自動反射、バビンスキー反射類似運動、ワルテンベルグ反射類似運動の筋電図とビデオ記録による計測で同意の得られた3名について計測を行った。【結果】①ポータブル脳波計の検討 夜間休憩中の脳波測定結果は機器の不快感は少なく3名とも比較的速やかに深睡眠まで移行しREM睡眠まで観察された。②睡眠中の四肢運動記録の検討 症例1では夜半、下肢においてバビンスキー様の動きが認められ23時からの1時間程度の浅睡眠中は右足、2時半からの1時間程度の浅睡眠中は左足で不随意運動が観察された。症例2もバビンスキー様の動きが認められ足関節の屈曲のような動きであったが、不随意運動後に覚醒やArousalへとつながるものは少なく深睡眠やREM睡眠時に出現していた。この不随意運動回数では1時間当たり12.9回と優位に多いがPLMDの動きとは異なり等間隔なものではなかった。 症例3は21時頃から入眠し22時過ぎに1回のみバビンスキー様の動きが左足・母指で見られた。 薬剤の影響と思われるDrug Spindleが多く見られた。 深睡眠に至る前に下肢のムズムズ感、痛み、だるさなどの症状により覚醒が生じた。【研究成果】 ①PolymateIIの性能は脳波や筋電図の観察に十分に耐えうる性能であり被験者の動きをほぼ制限することなく観測が可能であることが証明できた。②夜間脳波観察では1サイクル分の睡眠脳波が観察され、浅睡眠、深睡眠、REM睡眠が判定可能であった。③筋電図を用いて同期されたビデオデータの確認をするためのトリガーとして使用することで解析時間の大幅な短縮と精度の上昇とが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究遂行の達成度は「(2)おおむね順調に進展している」と判断する。その理由は、本研究の達成目標は主に2つあり、その一つは周期性四肢運動の3つの運動の出現関連を分析検討するための方法を確立すること、および他の一つはそれら3つの運動をアカシジア患者を対象として明らかにすることであった。本研究では前者は達成できており、後者は未達成である。その理由は研究期間中に研究に同意の取得ができた患者が予想以上に少なく、また同意の取れた患者を上記のような申請者らが確立した方法で測定したが、3つの運動の出現が乏しく、3つの運動の出現関連の分析には至らなかったためである。そこで現在は対象患者数増加を目的に関連施設にも協力をお願いし、症例数を増やして、後者の目標を達成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今回対象とした四肢運動について、健常な被験者において各運動と筋の動きを観察し、筋電図を測定する部位を決定したが、不随意運動による場合では、随意運動と筋の使い方が異なる可能性がある。このため、本検討では関節の動きによって生じる腱の動きを検出することで、母趾及び母指の不随意運動を捉えることとした。患者測定結果では、バビンスキー反射類似運動が数多く見られたが、長母趾伸筋の遠位端での筋電図計測によって正確にこの動きを捉えることができた。しかし、対象患者において脊髄自動反射やワルテンベルグ反射類似運動は観察されなかったため、今後症例を増やし、これらの動きを適切に計測できるかどうかをさらに検討する必要がある。
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