研究課題/領域番号 |
24621010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
田ヶ谷 浩邦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50342928)
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研究分担者 |
田中 克俊 北里大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30365176)
石川 均 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80265701)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠学 / 交代勤務 / メラトニン / メラノプシン |
研究概要 |
共同研究者石川均が中心となり、健常者において体内時計に及ぼす影響について、この作用と瞳孔の対光反射の光受容細胞であるメラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC)の反応について、スペクトル帯域別に眼光学的に詳細に検討した。健常被験者10名を対象として、眼前60cmに設置した白色スクリーンを急峻な特性を持つ3つの光学フィルター(440nm, 470nm, 500nmを中心に約30nm幅の帯域を遮断)装用前後に注視させ、瞳孔動揺をゴーグル型赤外線瞳孔計により記録し、瞳孔経の振幅と変動周波数を解析した。最も大きな変動が見られたのは470nmを中心に遮断する光学フィルターであった。 ヒトmRGCの光受容器の応答ピークは、480nm、470nmなどいくつかの報告がある。また、ヒトにおける体内時計を介したメラトニン分泌抑制作用の応答ピークは460nmであるという報告がある。従来の時間生物学や認知科学分野での研究では、体内時計同調作用や覚醒作用は470-550nmという広い帯域で報告されているが、眼光学的手法や厳密な特性のフィルターを用いた研究は行われておらず、mRGCについての今回の研究と眼光学的手法を用いた従来の報告を考え合わせると、体内時計同調作用や覚醒作用は、460nm-480nmの帯域に応答ピークがあると確認された。 上記結果より、本研究で夜勤シミュレーション実験および交代勤務者における実証実験で用いる高照度光照射装置(450nm-500nmの帯域を含む)および特殊ゴーグル(同帯域のみを特異的に遮断する)の光学特性を決定した。この特性を持つ特殊ゴーグルおよび、この帯域はほとんど遮断せず他の帯域を広汎に遮断するプラセボゴーグルを発注した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画段階では、基礎研究では、どのスペクトル帯域の光刺激あるいは遮断が最も効果的であるかを判定するため、健常者において、いくつかの帯域の光照射によるメラトニン分泌抑制を比較することとしていた。共同研究者と検討の結果、メラトニン分泌抑制に必要な光情報の受容器であるメラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC)は同時に瞳孔の対光反射の光受容器であるため、瞳孔反射を解析することで、同等の結果を得られることが判明した。この手法により、当初計画よりも簡便に照射あるいは遮断すべきスペクトル帯域を同定することが出来た。 この成果に基づいて、平成24年度中に、450-500nmの帯域のみを遮断する特殊ゴーグルと、この帯域はほとんど遮断せず他の帯域を広汎に遮断するプラセボゴーグルを発注することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、特殊ゴーグル、プラセボゴーグル、高照度光照射装置を用いて、健常者において夜勤シミュレーション実験を行う。実験計画のブラッシュアップの後、、研究倫理承認を受け実験を行う。実験結果を解析し、効果の判定、交代勤務者身体不調予防法のアルゴリズムを検討し、同時に問題点の洗い出しを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
特殊ゴーグル、プラセボゴーグル作成費。目的に合致する特性を持つ高照度光照射装置調達。 シミュレーション実験費(被験者謝金、研究料力者謝金、消耗品費)。 米国睡眠医学会における情報収集および研究成果公表。
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