研究課題/領域番号 |
24621010
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
田ヶ谷 浩邦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50342928)
|
研究分担者 |
田中 克俊 北里大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30365176)
石川 均 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80265701)
|
キーワード | 睡眠学 / 交代勤務 / メラトニン / メラノプシン |
研究概要 |
高照度光による体内時計位相と覚醒度に対する作用を媒介しているメラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC、あるいは内因性光感受性網膜神経節細胞:ipRGC)に関する最新の情報を全米睡眠医学会・全米睡眠科学会総会で収集した。最新の研究成果によると、mRGCは入力元の網膜神経細胞の種類、投射先の神経核などにより5つのサブタイプ(M1~M5)に分類されている。このうち、M1細胞は体内時計である視交叉上核(SCN)と中脳視蓋前域オリーブ核(OPN)に投射して、SCNを介する経路で概日リズム位相変位、メラトニン分泌抑制、覚醒作用を、OPNを介する経路で対光反射を引き起こしている。M2、M4、M5細胞は外側膝状体などを介して、低解像度の視覚を媒介する可能性が指摘されていること。M3細胞の投射先と機能は今のところ不明である。マウスではmRGC細胞は高照度の460nm付近の帯域の光で脱分極し活動電位が生じるが、様々なレベルで光感受性をノックアウトしたマウスによる研究で、mRCGの光感受性がなくても低照度(1 lx以下)でも概日リズム変位作用が生じ、これらは桿体細胞からmRCGへの入力によって引き起こされていると報告された。 上記の新知見を踏まえて、高照度光照射装置と450-500nmの帯域を特異的に阻害する特殊ゴーグルを用いる本研究計画の妥当性について、共同研究者石川と検討を行った。文献を詳細に検討したところ、mRCGのメラノプシン産生と錐体細胞のフォトプシン産生を同時ノックアウトした場合のみ1 lx以下で良好な概日リズム同調が生じた。桿体細胞のロドプシン産生の至適帯域は498 nmと、mRCGのメラノプシン産生至適帯域と重なるものの、実験において、特殊ゴーグルを装着してもこの帯域の照度が10 lx以上となるよう調整することは容易であり、当初の実験計画を大幅に変更することはないとの結論に達した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノックアウトマウスを用いた最新の研究により、メラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC、あるいは内因性光感受性網膜神経節細胞:ipRGC)の光感受性がなくても低照度(1 lx以下)でも概日リズム変位作用が生じ、これらは桿体細胞からmRCGへの入力によって引き起こされていると報告された。この新知見により、計画している実験計画についての再検討(関連文献の検討、作成済み特殊ゴーグルで問題が生じないかどうかの検討)を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスを用いた最新の研究により、メラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC、あるいは内因性光感受性網膜神経節細胞:ipRGC)の光感受性がなくても低照度(1 lx以下)でも概日リズム変位作用が生じ、これらは桿体細胞からmRCGへの入力によって引き起こされているという新知見が報告された。この新知見への対応を盛り込んだ健常者を対象とした交代勤務シミュレーション実験を、平成26年度に実施する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ノックアウトマウスを用いた最新の研究により、メラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC、あるいは内因性光感受性網膜神経節細胞:ipRGC)の光感受性がなくても低照度(1 lx以下)でも概日リズム変位作用が生じ、これらは桿体細胞からmRCGへの入力によって引き起こされていると報告された。この新知見により、計画している実験計画についての再検討(関連文献の検討、作成済み特殊ゴーグルで問題が生じないかどうかの検討)を要したため。 上記新知見への対応を盛り込んだ健常者を対象とした交代勤務シミュレーション実験を、平成26年度に実施する。
|