脳セロトニン(5-HT)の働きによって、24時間生物時計と睡眠・覚醒リズムが統合されることを見出した。5-HT急速・選択的除去法をラットに適用すると、睡眠・覚醒の24時間リズムが崩壊した。このときSCNの24時間リズムは強固に保たれ、睡眠・覚醒機能そのものも維持された。しかし、睡眠・覚醒を実行する前脳基底部・視索前野(BF/POA)の神経活動リズムは消失していた。この部位の5-HT受容体を阻害すると、徐波睡眠のリズムが消失した。以上から、SCNからの信号は、5-HTの作用を受けたBF/POA領域に伝えられ、そこで睡眠・覚醒機能を統合し、24時間周期の睡眠・覚醒リズムを生み出すと結論した。
|