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2012 年度 実施状況報告書

カンナビノイドの睡眠調節作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24621013
研究種目

基盤研究(C)

研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

内山 奈穂子  国立医薬品食品衛生研究所, 生薬部, 主任研究官 (60392297)

研究分担者 有竹 浩介  公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (70390804)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードカンナビノイド / 睡眠 / 覚醒
研究概要

本研究は,睡眠・覚醒調節に関わる新たな作用機構として,カンナビノイドに焦点をあて,その睡眠調節作用を解明することを目的とする.
本年度は,構造が異なる5種類のカンナビノイドを選定し,マウスに対する自発運動量の変化を検討した.4種の合成カンナビノイド[cannabicyclohexanol (CCH),JWH-018,(-)-CP-55940,(+)-WIN-55212-2],及び内因性カンナビノイドのアナンダミドを暗期直前にマウスに腹腔内投与したところ,溶媒投与マウスに比べて、CCH,JWH-018及び(-)-CP-55940投与マウスに,顕著な自発運動量の減少がみられた.次に,睡眠覚醒障害モデル動物として,リポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)及びアデノシンA2A受容体遺伝子欠損マウスを用いて,CCH,JWH-018,(-)-CP-55940投与によるマウスの自発運動量に及ぼす作用を検討した.その結果,CCHを投与したアデノシンA2A受容体遺伝子欠損マウス2匹中2匹が死亡し,JWH-018を投与したアデノシンA2A受容体遺伝子欠損マウス3匹中1匹が死亡した.また,(-)-CP-55940を投与したL-PGDS遺伝子欠損マウス3匹中1匹が死亡した.一方,野生型マウスは投与後も全て生存していた.また,CCH,JWH-018及び(-)-CP-55940投与後生存していた両遺伝子欠損マウスについては,いずれも野生型マウスと同様に自発運動量の減少がみられた.一部のマウスが死亡した原因の詳細は不明であるが,CCHおよびJWH-018のマウス自発運動量に及ぼす効果は、A2A受容体を介した調節の関与が示唆された。一方、(-)-CP-55940のマウス自発運動量に及ぼす効果は、PGD2を介した調節の関与が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は構造の異なる5種類のカンナビノイドについてマウスの自発運動量に及ぼす作用を検討し,顕著に自発運動量が減少した3種類のカンナビノイド(CCH,JWH-018及び(-)-CP-55940)についてさらに詳しく検討することとした.睡眠覚醒障害モデル動物として,リポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)及びアデノシンA2A受容体遺伝子欠損マウスを用いて,CCH,JWH-018及び(-)-CP-55940投与によるマウスの自発運動量に及ぼす作用を検討し,前述の通り,3化合物とも両遺伝子欠損マウスの一部に野生型マウスと異なる作用を及ぼすことが明らかとなった.従って,これら化合物がカンナビノイドの睡眠調節機構の2カ所の作用部位に何らかの関与をしていることが示され,この点に関しては一定の成果があった.従って,達成度は「おおむね順調に進展している」とした.

今後の研究の推進方策

今年度の結果を踏まえ,3種類の合成カンナビノイドCCH,JWH-018及び(-)-CP-55940について,睡眠覚醒障害モデル動物としてリポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)及びアデノシンA2A受容体遺伝子欠損マウスを用いて脳波測定を行い,睡眠覚醒に及ぼす作用を検討する.また,各カンナビノイドの濃度の検討も行う.さらに,両作用部位に関連した脳内睡眠物質(PGD2など)の濃度を測定し,各カンナビノイドがこれら調節因子に関与しているかを検討する.また,その他に既に入手している睡眠覚醒障害モデル動物を用いて,まず各カンナビノイドの自発運動量に及ぼす影響を調べ,他の睡眠調節部位に作用するかどうかに関しても検討を行う.

次年度の研究費の使用計画

基本的には今年度と同様の使用を計画している.通常汎用される試薬,脳波および自発運動量測定用の器具等の費用に加えて,遺伝子欠損マウスの繁殖飼育費用として使用する予定である.また,研究代表者と分担者の研究打ち合わせ等や,研究成果発表のための学会参加の出張費,さらに論文投稿料,印刷代等の費用として使用する予定である.

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公開日: 2014-07-24  

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