研究課題/領域番号 |
24650006
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
伊藤 大雄 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (50283487)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組合せゲーム / 劣線形時間アルゴリズム / ケーキ分割問題 / 川渡り問題 / 一般化将棋 / ジャンケン / 三並べ |
研究実績の概要 |
ゲーム・パズルに関する劣線形時間アルゴリズムを中心に、これまでに無い枠組みの提示という視点から研究を進めてきた。(I) ケーキ分割問題とはn人のプレイヤーの間で、一つのケーキを公平(各プレイヤーが自分の尺度で少なくとも1/nはもらっていると思うように)分割する問題であるが、これは、問題の性質から少なくともΩ(n)時間を必要とする。しかしこの問題を劣線形時間で解くという試みに挑み以下の結果を得た。まずその枠組みを以下のように与えた:第一ステップでr=o(n)人のプレイヤーに対し、o(n)時間でケーキを分割する。そして第二ステップで残りのプレイヤーのうちεn人を除くn-r-εn人に対しpoly(n)時間でケーキを分割する。残ったεn人は犠牲者であり、この考え方(近似法)を「εn犠牲」と名付けた。そしてこの枠組みの中での劣線形時間アルゴリズムを与えた。本結果はarXivに掲載し、国際会議に投稿中である。(II) 一般化将棋問題の定数時間アルゴリズム:将棋盤を√n×√nとし、王将以外の駒をO(n)個に増やした一般化将棋問題が定数時間検査であることを証明した。本結果は国際会議への投稿準備中である。(III) 引分けを考慮した一般化ジャンケンについて、引分け数の連続性を証明した。今年度中に国際会議に投稿する予定である。(IV) 三並べに基づく新しいゲームである「共食い動物ゲーム」を提案し、その性質を明らかにした論文がジャーナルペーパーとして採録が決定した。(V) 一般化川渡り問題について、禁止状態を入力とした新しい視点の問題を提示し、クラグの伸張度に基づく原理を利用したアルゴリズムを提案したが、その論文がジャーナルペーパーとして採録が決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ケーキ分割問題に対しては、当初の思惑通りの高水準の大変良い結果が得られた。一般化将棋問題については、定数時間検査可能であるという結果が期間内に得られ、これも予想していた最大到達点と言える。一般化ジャンケンや共食い動物ゲームなどの論文化をなしとげたこと、さらに予定に無かった一般化川渡り問題で新しい枠組みのアルゴリズムを発見し、国際会議からジャーナル論文化まで成し遂げることができた。以上から、当初の研究計画はほぼ予定通り達成できたのみならず、計画以上の目覚しい成果が得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究成果のまとめと発表である。(I)の結果を投稿した交際会議がもし採録されれば、それの発表を行う。不採録の場合には、修正の上で他の会議に投稿する。さらに(II),(III)の結果を速やかにまとめて、国際会議に投稿する。これらの発表を年度内に終えたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度後半の論文化の段階で、さらに高度な結果が証明できることがわかり、内容を改善し、より水準の高い国際会議に投稿することにしたため、完成が年度内に間に合わななかった。そのため、国際会議出張旅費等を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究結果を投稿した国際会議への出張旅費、および、最終原稿の英文添削費用などに充てる。
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