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2014 年度 実施状況報告書

疑似平方数に基づいた高速な確定的素数判定アルゴリズムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24650007
研究機関岡山大学

研究代表者

神保 秀司  岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (00226391)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード素数判定アルゴリズム / 疑似平方数 / グラフ理論 / アルゴリズム / 巡回的グラフ
研究実績の概要

平成26年度中の完成を目標にしていた巨大な証明付き素数の構成アルゴリズムの開発は、遅れていて未完成であるが、年度の後半に2の36乗ビット程度までの非負整数に対応した乗算アルゴリズムを開発した。これは、素数位数の有限体上のFFTを含む既存技術を応用した高速アルゴリズムである。ただし、GNU MP などの既存のオープンソースライブラリを利用する場合と比較して大幅に実行時間が短かく、現在利用している 16GB から 64GB 程度の主記憶容量の計算機環境にかなり良く適応したものになっている。
研究期間が延長された平成27年度は、前半に既存の数値計算ライブラリを活用するなどして2の30乗ビット以上の長さの素数のランダム生成アルゴリズムを完成させ、それを応用したいくつかの大規模な計算機実験の実施を予定している。実験のテーマの一つは、巡回的グラフ (circulant graph) と呼ばれるグラフの構造と頂点数の素因数との関係についての調査である。残念ながら、当初の目標である疑似平方数に基づいた確定的素数判定アルゴリズムへの応用は困難な状況である。平成26年9月に第13回情報科学技術フォーラム (FIT 2014) に、12月に 4th International Conference on Artificial Intelligence and Applications in Engineering and Technology (ICAIET2014) に、平成27年3月に電子情報通信学会2015年総合大会及び情報処理学会第77回全国大会に出席し研究のための情報を入手した。これらの情報の一部は、平成27年度に予定している計算機実験に有用であることが期待される。
疑似平方数に基づいた確定的素数判定アルゴリズム開発の理論的基礎としていた Bach 理論についての調査は、研究発表に至らなかったが平成26年度においてある程度進行している。現在、平成27年度後半に Bach 理論の離散化の可能性について研究発表することを目標にしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初の優先的目標であったBach の理論を直接離散的な形で展開することについては、理論の調査についてある程度の進展したが研究発表には至らなかった。平成25年度から派生した目標である巨大な証明付き素数の構成アルゴリズムの開発とその応用については,アルゴリズムの中心となる高速多倍長乗算アルゴリズムの実装がほぼ完成しているが、全体として動作するまでには至らなかった。しかしながら、これらの進展を研究期間が延長された平成27年度においても継続し,年度の後半における研究発表につながることが期待できる状況である。

今後の研究の推進方策

Bach の理論を直接離散的な形で展開し疑似平方数を使って実用的なアルゴリズム設計に応用するという当初の研究方針は、文献調査中心の研究として平成27年度も続ける。この方針の研究については、他大学に所属する研究者との共同研究の可能性も考慮する。
もう一つの研究方針として、平成26年度から続いている証明付き巨大素数のランダム生成アルゴリズムの開発と実装を平成27年度の前半に実用可能な程度に完成させ、その後それを応用した大規模な計算機実験を開始する。実験のための計算機資源として主に研究代表者の所属研究分野が所有する2台のワークステーションを使用するが、それ以外に研究代表者の所属講座が所有するワークステーションクラスタを使うこともできる。研究分野が所有するワークステーションについては、年度前半に主記憶及びハードディスクの増量による強化を予定している。
実験のテーマの一つは、「研究実績の概要」で述べた巡回的グラフ (circulant graph) と呼ばれるグラフの構造と頂点数の素因数との関係についての調査である。他に、疑似平方数に基づいた確定的素数判定の原理とカーマイケル数との関係についての調査を予定している。年度の後半にこれらのテーマの実験についての複数の研究発表を予定している。

次年度使用額が生じた理由

理論研究の進展が遅れていることにより、研究発表に使用する金額が少なかったことが次年度使用額が生じた主な理由の一つである。その他に,平成26年度中の完成を予定していた証明付き巨大素数のランダム生成アルゴリズムの開発が完了せず、それを効果的に実行するためのハードウェア増設費用が残ったことがもう一つの理由である。

次年度使用額の使用計画

平成27年度の前半にワークステーションのハードウェア面の強化のために20万円程度使用して主記憶とハードディスクを増量する。このワークステーションは、計算機実験のための平成25年度末に購入したものである。さらに、平成27年度の後半に、2回程度研究発表のための国内出張を予定している。

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公開日: 2016-06-03  

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